【オーストラリア】原発コストは再エネより高い=CSIRO
オーストラリア科学産業研究機関(CSIRO)は9日、原子力発電のコストが再生可能エネルギーよりも高いとする調査結果を発表した。原発導入を公約する野党保守連合(自由党・国民党)は今週中にコストを発表する予定で、これまで原発は再エネよりも安いと主張してきた。だがCSIROによる裏付けは取れず、発表直前になって説得力に陰りが出ている。 保守連合は、石炭火力発電所がある敷地7カ所に原発を建設する計画。まずは35年までに小型モジュール炉(SMR)を2基、または37年までに既存型の原子炉2基を稼働させる方針だ。 CSIROは5月に発表した発電コストに関する年次報告書「GenCost」で、原発の発電コストは再エネの2倍になると指摘していたが、保守連合は「60年以上稼働できる原発が30年しか稼働しないという誤った見積もりに基づいている」と批判。CSIROはこれを受け、試算をやり直していた経緯がある。 ただ今回新しく発表された2024/25年度(6月期)報告書草案は、再エネは25~30年ごとに再建設が必要となることを考慮しても最も低コストだと評価したほか、原発は60年以上にわたり維持するために多額の改修費用が必要になるとし、コスト優位性はないと断定した。 またオーストラリアで原子炉を建設するには少なくとも15年かかると指摘。SMRはより早く建設できる可能性があるが、現時点では商業的に未成熟な技術だとした。 ■SMRコストは最大663$ 1メガワット時当たりのコストは、大型原子炉が115~252豪ドル(約1万1,000~2万4,000円)、SMRが400~663豪ドルと試算された一方、太陽光と風力を含む再エネ発電(需給調整能力あり)は98~150豪ドルにとどまった。石炭火力発電と二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)の組み合わせは、190~303豪ドルだった。 CSIROは草案について、9日から9週間のパブリックコンサルテーションを開始している。