好天に恵まれた大型連休。人出が伸びたと思ったら全国の88%で減少、コロナ5類移行後初なのになぜ? 一番活発に動いた人たちは…大規模データの分析から判明
大手旅行会社の関係者は「年配の女性は夫婦での旅行の参加に加え、友達同士のケースが目立ち、活発に動いている印象だ」と指摘する。「大型連休は普段働いている友達とも旅行に行ける」と説明する。 ▽勤務形態柔軟化で平日にまとまった休みを取る人も 調査会社のインテージ(東京)が4月に発表した全国の男女が対象の意識調査では、物価高と円安が大型連休の予算や行動に影響するとの回答が6割を超えた。大型連休の予定(複数回答)は「自宅で過ごす」が34・1%で最も多く、「ショッピングに行く」は昨年調査から6・8ポイント減の16・7%に低下した。 インテージの担当者は「旅行と答えた人は大きく増えなかった。コロナ5類移行後初めてのゴールデンウイークだが、意外と自宅で過ごす人が多かったとみられる」と述べた。 ニッセイ基礎研究所の佐久間誠主任研究員は「混雑や割高な宿泊費などを避けるため平日に旅行に行く人が増え、人出が他の時期に分散したのではないか」と語る。コロナ禍を経て多くの職場で勤務形態が柔軟になり、大型連休期間以外の平日にまとまった休みを取る人が出てきているとの見方を示した。
▽円安が食品値上げにつながり、秋以降もインフレに 経済統計は家計の負担を如実に映し出す。毎月勤労統計調査によると、円安を背景に、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金の減少期間がこの3月で24カ月に達した。リーマン・ショックを挟む2007~2009年の23カ月連続の記録を上回り、過去最長を更新した。インフレの勢いが強く、家計の悪化は歯止めがかからない。 円安は訪日客増加とホテル需要拡大を促し、2023年度平均の全国消費者物価指数で宿泊料が前年度比25・5%上昇するなど、旅行費用がかさむようになった。 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「食品価格は上昇しても必需品であり減らすに減らせない。レジャーに節約の圧力が強まり、移動距離が短い近くの行楽に移ったのではないか」と指摘する。 5月使用分を最後に電気・ガス代を抑える政府の補助金は廃止され、各家庭に負担がのしかかる。熊野氏は、直近の円安進行に伴う費用増加がさまざまな経路を経て半年後ぐらいに食品メーカーの値上げ判断につながるとみており「秋以降にまた物価上昇が起こるだろう」と読む。物価高に打ち勝つため、数年がかりで企業が積極的な賃上げを繰り返す必要があると強調している。