鉄道ファンは必見!北海道を疾走するSLから長崎・軍艦島まで。本物の迫力あふれる左幸子監督作品が蘇る
ここで、映画紹介に戻る。左幸子監督は1930年生まれで富山県出身。「にっぽん昆虫記」、「彼女と彼」の演技により、64年の第14回ベルリン国際映画祭で、日本人として初めて主演女優賞に輝いた。そして、多くの映画、テレビドラマなどに出演。2001年に死去した。 鉄道官舎での暮らしの細かな部分まで出てくるのも、この映画の魅力だ。滝ノ上市蔵・里子夫婦。そして、成長してゆく娘と息子。やがて息子は父と同じく鉄道で働く道を選ぶ。娘の結婚などの家族ドラマの展開の中で、長崎の軍艦島が出てくる場面もある。軍艦島はかつて海底炭田のため、岩礁の回りを埋め立てて作った人工島。1960年には5000人を超す人々が居住していた。しかし石炭の時代は過ぎ去り74年に閉山。この映画では閉山から数年後の、軍艦島の様子を見ることができる。 この「遠い一本の道」は、70年代の社会の変化を知ることができるという点でも、必見の映画といえるだろう。