四千頭身・後藤拓実「次の目標はM-1決勝」第七世代ブームを経て、ネタへのモチベーションが上がった「次の5年」《インタビュー》
次の目標は「M-1決勝」
――客観的に後藤さんを見ていると、若くして売れてタワマンに住み、かと思えば第七ブームが去り仕事が減り……と、20代で人生の波を経験しているように思います。大変だったと思いますが、そのご経験もまた財産と言えるのかなと。後藤さん的にはどう思いますか?
後藤 これ、財産になりますかね? たしかにそう言われると、経験値はけっこうあるような気もしますけど……。ただ、今までが早かった分、待っていられない感じもあるんですよね。30歳まであと2年ちょっとですけど、少し面倒くさい気持ちもあります。前と比べると欲しいものも買えないし……。税金いっぱい払いましたから、ちょっとだけ返してほしいな(笑)。経験したことがいつか活きるとは思うんですけど、それがいつ来るのか。そのタイミングを逃さないようにしたいですね。 ――後藤さんのように表舞台に立つ仕事だと、“タワマン住まいから転落”のような記事が勝手に出て、世間からいろんなことを言われると思います。特に第七ブームが去ってからは辛い思いもされたのではと思いますが、どうやって逆境に立ち向かってきましたか? 後藤 立ち向かえなかったんです、最近まで。ほぼあきらめムードというか……「田舎で暮らそう」くらいのマインドでした(笑)。でも今年M-1の三回戦を突破できたとき、楽しくなりました。もうちょっと向き合ってみようかなという気持ちになって。そうなってからのほうが楽しいですね。 ――だいぶ最近ですね! それまでは、下向きのマインドだったのでしょうか? 後藤 下向きでした。潜り抜けてた感じ。今は飛び越えていこうと思ってます。 ――ネタで評価されたことが、気持ちの変化に繋がったということですか? 後藤 評価というか「まだこんなに見てくれるんだ」ということがわかったので。もっとちゃんとネタを作ってみようという気持ちになってます。 ――今はネタへのモチベーションが上がってるんですね。 後藤 逆に、ネタくらいしかないです。よく考えるとやりたいことも別にないので。今までいろんなことやってきたけど、自分に合ってることもなかったんです。これからはネタを書いて、たまに広告の仕事があれば(笑)、生きていける。それが良いですね。 ――四千頭身さんがネタで評価されはじめたくらいのタイミングで、第七ブームが来ましたよね。 後藤 そうですね。ある程度ネタでテレビに出始めたとき、第七ブームになって……ちょっと惜しかった気がします。当時はネタも少なかったし、なんもわかんないままやってたので。今のように、ネタを溜め込む時期も必要なのかなと思います。でも、第七ブームがなかったとしても、露出が減ってる状況は一緒だったとは思います。こうなることはね、よく考えればわかったはずなんです。シンプルに実力です。精一杯調子に乗りました。今思うと、もうちょっと冷静に物事を考えられたよなとも思います。いろいろありますよ。 ――『安心できる男』には、過去5年間のコラムが収録されています。次の5年で、後藤さんがやりたいことはなんですか? 後藤 M-1決勝に行きたいですね。僕ら、あと6回でラストイヤーなんですよ。だから5年以内に決勝行っとかないと。「来年行くぞ」というよりは、出られるうちに良いネタができて、決勝に行きたい。そう考えたほうが気は楽ですね。 ――ラストイヤーまで、あと6回なんですね! 意外と短い。 後藤 そうなんですよ。出が早い分、30代前半でラストイヤーなんです。そこで決勝行けなかったら、けっこうヤバいっすよね。ただのなんでもない人になっちゃうんで。 ――優勝ではなく、決勝ですか? 後藤 とりあえず決勝に行っときましょう。そして、ラストイヤーで優勝。これがカッコいいでしょう。