ジャンボタニシ 身近な材料で捕獲器 お勧めは複数対策
高温で越冬多く懸念
田植え後の柔らかく小さな苗を食害するスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)。稲の収量減少を引き起こす厄介者で、2022年で関東以西の35府県に広がる。今年は暖冬の影響で越冬した個体が多い恐れがあるとして、農水省は警戒を呼びかける。 【表で見る】季節ごとのジャンボタニシ対策 同省が「水を張った後から田植え前までが有効」(植物防疫課)とする対策が、捕獲器による捕殺だ。 「これだけで撲滅とはならないが、小さい貝も捕まえられた。身近な道具を使って対策できる」。JAわかやま北部営農センター営農指導員の上野山恭介さんはこう話す。上野山さんは、ペットボトルなど身近な資材を使って手作りできる捕獲器を考案。捕獲器一つで小さい貝が100匹くらい取れたこともあるという。 1~2リットルのペットボトルの口と胴体上部を切り取り、反対に向けて下部に差し込む。内部には貝を誘引するために水で湿らせた米ぬか団子を入れる。ボトルの側面に輪ゴムで結び付けた割り箸を土に差して固定する。差し込んだペットボトルの胴体上部が返しになり、中に入った貝が逃げにくい構造だ。 JAかながわ西湘もペットボトルを使った捕獲器の作り方をユーチューブで紹介。三重県松阪市は育苗箱を使った作り方をホームページで掲載している。 捕獲器を含め、地域の実情に合ったさまざまな対策の組み合わせが効果を高める。 田植え前には、水路からの侵入を防止するための取水口のネット設置、殺貝効果のある石灰窒素の散布を行う。田植え時には、殺貝や食害防止に効果のある薬剤を散布する。 ジャンボタニシは、水深が浅いと活動が制限されるため、田植え後約3週間は水深4センチ以下に維持する。千葉県は「均平で被害軽減!」と訴えるチラシを作成。凹凸があると、浅水にしても深い所に貝が集中し食害が起きやすい。冬期のレーザーレベラー使用で均平化し浅水管理の効果を高める。浅水管理が難しい場合は薬剤を散布する。 秋冬には石灰窒素の散布や、耕うんで物理的に砕いて寒風にさらし、越冬個体を減らす。走行速度を遅くしロータリーの回転を速くし、細かく土を砕くのがポイントだ。(玉井理美)
日本農業新聞