パナソニック「AI関連の売上高を10年で3倍」の覚悟 このままだと「パナソニックは化石になってしまう」と楠見社長
この間、同業他社は不採算事業からの撤退やM&A(買収・合併)を経て、それぞれの得意分野へと経営資源を集中する動きを続けてきた。それに伴い株式市場での評価も高まっている。ソニーグループの株価も昨年12月に25年ぶりとなる史上最高値を更新した。 ただ、生成AIの領域で確固たる地位を築くことができている日本企業はまだいないのも事実だ。市場からの評価で出遅れ感のあるパナソニックは、他社に追いつき追い越すことができるのか。
■楠見社長「将来への危機感の裏返しだ」 現地時間1月8日に楠見社長が報道陣の合同取材に応じた。主な質疑応答は以下のとおり。 ――このタイミングで「パナソニック・ゴー」を発表したのはなぜですか。 AIが進化していくにしたがって、既存の事実をベースに何かを生成するような作業は人からAIに置き換わっていくだろう。これによって、顧客との接点やソリューションも人を介さないものが増えてくる。 AIとそれに関連する技術を自分たちの力にしないと、パナソニックが化石になってしまうという危機感がある。
冷蔵庫や炊飯器などのAI搭載家電や、天気予報をベースに電力の需給を管理する家庭用エネルギーマネジメントシステム、ブルーヨンダーなど、グループ内にはAIを活用した事業がすでに存在する。 これらの売上高の合計は(グループ売上高の)おおよそ1割弱ある。これを最低でも3倍にしたいと考えている。 ――その達成に向けて投資や人員の確保をどう進めますか。 投資の仕方やどんなM&Aが必要になるかはこれから検討する。これまでは何かが決まってから慎重に発表することが(パナソニックでは)多かったが、そういうやり方をしているから何事も早く進まないという危機感があった。そこで、今回はまだ決まっていないところで発表した。
AI関連の知見をどういうふうに活用していくかを議論するコンソーシアムのような場を社内に作る。事業ごとに「この事業はこういうふうにしたら変わっていけるよね」という話を深めていくことが第一歩だ。 パナソニックHDの研究部門にもAIのチームがある。そこを核にしながらヨーキーのところでやったものを咀嚼して、展開していけるような機能を担わせようとしている。人材の交流もかなり進んでいる。 ■「BtoBシフトの転換ではない」