パナソニック「AI関連の売上高を10年で3倍」の覚悟 このままだと「パナソニックは化石になってしまう」と楠見社長
――パナソニックとしてのAIでの勝ち筋は? 2つある。1つはオーケストレーションの機能とか、AIエージェントの開発を自社でやっているわけだが、それぞれのサービスについてそこのノウハウをいち早く築くことだ。 もう1つはパナソニックに対するお客様からの信頼、企業倫理を(サービスの主体が)AIに変わっても実現していくことだ。単純にAIアシスタントで生成AIを使っているということではなくて、組み合わせでやっていく中で、違いを出していくことがポイントになるだろう。
――ブルーヨンダーを中心に前社長の津賀一宏氏の時代から進めてきたBtoBシフトを転換するということですか。 かならずしも転換ではない。津賀の時代に発表したのは「BtoBを伸ばしていきたい」ということだった。先進国では(個人向けの)冷蔵庫や洗濯機が劇的に進化するようなことは考えにくく、コスト競争にならざるを得ない。新しいことがたくさん起きて、成長の機会があるのはBtoBだ。 ウミはBtoBの話でもある。提携先のサービスをつないでいく際に、(パナソニックが)プラットフォーマーになるという意味ではBtoBのサービスだからだ。
――2024年を通して「危機感」を繰り返し社内外に発信してきました。2025年のキーワードは何ですか。 危機感にはいろんな危機感がある。緊張感というか、競合に対して劣後していることへの危機感、というのもあれば、生成AIの時代になったら、どれだけ変わっていくのかということ、そこに対する危機感もある。 既存の事業は徹底的に収益性を高める。これは現在への危機感。一方で将来に向けては世の中の技術やさまざまな進化を自分のものにしていくということにも危機感を持っている。パナソニック・ゴーやウミは将来への危機感の裏返しだ。
梅垣 勇人 :東洋経済 記者