パナソニック「AI関連の売上高を10年で3倍」の覚悟 このままだと「パナソニックは化石になってしまう」と楠見社長
「みなさんが知っているパナソニックを根本から覆す革新的な取り組み、それが『パナソニック・ゴー』なのです」――。 【写真を見る】今後の行方を占う重要なプロジェクトの開発を担うのはYoky(ヨーキー)こと松岡陽子氏。グーグルやアップルの要職を経験した人物だ アメリカ・ラスベガスで開催中のテクノロジー見本市「CES 2025」で基調講演に登壇したパナソニックホールディングスの楠見雄規社長は、詰めかけた観客に向けて声を張り上げた。 パナソニックは2035年までにグループ売上高に占めるAI(人工知能)関連事業の比率を現在の1割弱から約3割にまで高める目標をぶち上げた。自動車部品事業の切り離しを加味したグループ売上高は7兆円前後。売上高が今後横ばいだと仮定しても、AI関連だけで約2兆円になる壮大な計画だ。
「Panasonic GO(パナソニック・ゴー)」という計画の名称は、計画達成時期が創業者の松下幸之助が示した「250年計画」の5節に当たることなどから「ゴー」と名づけられた。幸之助は1932年に、25年からなる1節を10回繰り返して「理想の社会」の建設を目指すことを掲げた。 ■家庭向けサービス「Umi」の正体 パナソニック・ゴー計画の一環として、AIを使った生活コンシェルジュサービス「Umi(ウミ)」を2025年中にもアメリカで提供する。日本国内でのサービス展開は未定だが「いずれ検討したい」と説明している。
これまでパナソニックはブルーヨンダーを中核にAI戦略を展開してきた。2021年までに総額71億ドル(当時のレートで約7800億円)を投じて完全子会社化したブルーヨンダーは、法人向けのサプライチェーンマネジメント(SCM)システムで、生産計画の立案から配送網の管理まで供給網を一元的に管理できるのが強みだ。 一方、今回発表したウミは、消費者が最終顧客となるサービスだ。家庭用の製品が祖業のパナソニックにとって、BtoCの領域でAIを活用したビジネスを展開する意味は大きい。まさに今後の行方を占う重要なプロジェクトだといえる。