なぜ西武は不振打線の爆発で連敗をストップできたのか…殊勲は育成ドラフト出身20歳のリードオフマン高木渉
パ・リーグワーストのチーム打率にあえぎ、同じく最多の三振を喫していた「山賊打線」が突如として火を噴いた。5者連続のタイムリーを含めた6連打で一挙6点をあげ、逆転に成功した埼玉西武ライオンズが今シーズン最多の13点をマークし、泥沼の7連敗からようやく脱出した。 本拠地メットライフドームを熱狂させた、東北楽天ゴールデンイーグルスとの壮絶な乱打戦を13-8で制した14日の9回戦。西武打線が一丸となった怒涛の逆転劇は、6-7と1点を追う5回裏の先頭打者、5番・栗山巧が放ったライト線への強烈なヒットとともに幕を開けた。 前の打席で5号ソロを放っていたエルネスト・メヒアはセカンドフライに倒れたものの、不振にあえいでいた昨年の首位打者、森友哉がレフト前へ運んでチャンスを広げる。そして、規定打席に達している選手のなかで群を抜いて最多となる、69個もの三振を喫していたコーリー・スパンジェンバーグが楽天の2番手、ルーキー津留崎大成が投じた2球目をライト前へ弾き返した。 「大事な場面で回してくれたからね。まずは同点タイムリーを打つことができてよかったよ」 一死一、三塁となったところで津留崎は降板。マウンドに上がった40歳の久保裕也にも、西武打線が容赦なく襲いかかる。首痛が癒えて約1カ月ぶりに一軍へ復帰し、9番・センターで先発を果たしていた金子侑司が、久保を強襲する内野安打を放って瞬く間に勝ち越した。 「打ったのはフォークですかね。(一軍の舞台に)帰って来られた、という気持ちになりました」 前夜に続いて1番に抜擢されていた2017年の育成ドラフト1位、20歳の高木渉も続く。カウント1-2から久保が投じた、4球目のフォークボールに体勢を崩しながらもバットを一閃。ライト前へしぶとく運び、スパンジェンバーグを迎え入れた高木は初体験の猛打賞をこう振り返る。 「とにかくランナーを返す。それだけを考えて打席に入りました。カウント的に追い込まれていたなかで何とか低目の変化球を拾うことができて、自分自身でも非常によかった打席だと思っています。ベンチへ帰ってきてからも、みなさんから祝福していただいて嬉しかったです」 こうなるともう止まらない。今シーズンからキャプテンを務める源田壮亮が一、二塁間を破ってリードを3点に広げれば、外崎修汰が左中間へ三塁打を放って2人の走者を一掃する。ともに27歳の2人は、異口同音に「いい流れに乗ることができました」と声を弾ませた。