膝関節への「PFC-FD療法」とは? 治療の流れと費用目安を教えて
「再生医療」という言葉は、ここ数年でかなり耳にするようになってきました。そこで、膝関節などへの治療として用いられる「PFC-FD療法」について、整形外科医の乗松祐佐先生(のりまつ整形外科・骨粗しょう症クリニック院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
PRP療法ってどんな治療? PRP療法を応用したPFC-FD療法についても教えて!
編集部: まず、膝関節へのPRP療法とは何ですか? 乗松先生: 「PRP療法」とは、患者さん自身の血液から取り出した「多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma)」を使って膝の痛みや損傷を治療する方法です。PRPには血小板が豊富に含まれており、細胞修復と再生を促す成分が含まれています。 編集部: 膝関節へのPRP療法はどのような効果があるのですか? 乗松先生: PRP療法は膝関節の炎症を軽減し、組織修復や再生を促進することで痛みなどの症状を軽減する効果が期待できます。また、軽度な軟骨損傷や腱の損傷にも効果があるとされています。 編集部: では、PFC-FD療法とは何ですか? 乗松先生: PRPは、自己血液を遠心分離して得られる血小板が多量に含まれた液体(多血小板血漿)です。PFC-FDは、このPRPから成長因子を取り出して凍結乾燥(フリーズドライ)したものです。より濃縮した成長因子を使用する治療法ということになります。 編集部: 効果はどれくらい持続しますか? 乗松先生: 一般的には3ヶ月~半年程度とされています。ただし、効果の持続期間は個人によって異なり、もっと長い方もいれば、短い方もいらっしゃいます。
PRP療法を応用したPFC-FD療法のメリットとデメリットを教えて PFC-FD療法が適さない人もいるの?
編集部: PRP療法を応用したPFC-FD療法のメリットを教えてください。 乗松先生: まずは、「安全性が高い」ということが挙げられます。患者さんご自身の血液から製造されるため、他人の組織を使った治療や薬物による治療と比べると、拒否反応や感染症のリスクなどの副作用が少ないのです。 もうひとつは「施術が簡便」ということです。手術や入院といった負担がなく、注射を受けた日に歩いて帰ることができます。 編集部: では、PFC-FD療法のデメリットはありますか? 乗松先生: ひとつめは、保険が適用されないため、治療費が自己負担となってしまうことです。もうひとつは、個人の血小板に含まれる成長因子を使うため、効果にも個人差があるということです。 それぞれの成長因子の働きによって、効果が薄かったり、持続時間が短かったり、逆に思ったよりも高い効果が出たりと言ったことが起こり得ます。 編集部: PRP療法やPFC-FD療法はどんな人でも受けられるのですか? 乗松先生: 基本的にはどんな方でも大丈夫です。特に関節や軟骨、腱の痛みや損傷がある方には適していると言えるでしょう。 編集部: あまり適さない人もいますか? 乗松先生: 膝関節に重度の損傷や進行した骨疾患がある場合、効果は限定的な場合があります。 ほかには、何か別の重度な疾患で全身状態が良くない人などは、PRP療法が適さない場合もありますし、すでに人工関節の方やB・C型肝炎などの方にはPFC-FD療法を行うことができません。 あとは、注射をしますので何らかの理由で感染しやすい状態(易感染性)だったり、血液が固まりにくいお薬を飲んでいたりする方も注意が必要ですので、当てはまる方は必ず医師に申し出てください。