膝関節への「PFC-FD療法」とは? 治療の流れと費用目安を教えて
PFC-FD療法の流れや費用が知りたい 受けるときの注意点も医師が解説
編集部: PFC-FD療法の手順はどのように行われますか? 乗松先生: まず血液を約50ml採取し、厚生労働省認可の細胞加工センターに送られます。ここで血小板を濃縮したり、そこから成長因子を活性化させたりといった加工が行われます。 その後、治療を受けるクリニックにて凍結乾燥された「PFC-FD」を生理食塩水で液体に戻したものを患者さんの患部へ注射します。採血から、実際の注射までの期間は約3週間です。もちろん、入院の必要はなく、採血の時と注射の時に来院していただければ大丈夫です。 編集部: 費用についても教えてください。 乗松先生: 自費診療となりますのでそれぞれの医療機関によりますが、当院の場合1回約20万円になります。このほかに、初診料や再診料、お薬代などがかかります。 編集部: 治療を受ける際の注意点などはありますか? 乗松先生: 繰り返しになりますが、効果がわかりにくい人もいらっしゃるということです。PFC-FD療法は基本的に変形性膝関節症の人の痛みには高い効果が期待できるとされていますが、変形具合によっては症状が良くならない場合もあります。 また、わずかではありますが、感染や腫れなどのリスクもありますので注意が必要です。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。 乗松先生: 膝の痛みで歩行や生活動作に支障が出ている人や医師から手術をすすめられているけれど手術をためらっている人などに、PFC-FD療法はとてもおすすめです。入院の必要がなく、自分の血液を使用するため安全性も高い治療です。 繰り返し受けることが可能なPFC-FD療法は、人生100年時代と言われる現代において、末永く自分の足で歩くためにかなり有益な方法だと思います。まずは、PFC-FD療法を行っている医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
人工関節置換の手術をすると数週間の入院が必要になりますし、その後もリハビリをしなければならず、負担も少なくありません。 外来で治療を受けることができ、すぐに歩いて帰れるPRP療法やPFC-FD療法は、家事や介護、仕事などで忙しい方の痛みを取るのに最適な治療法かもしれません。
【この記事の監修医師】 乗松 祐佐 先生(のりまつ整形外科・骨粗しょう症クリニック) 2000年に自治医科大学医学部を卒業後、自治医科大学大学院(博士課程)や米・マサチューセッツ総合病院(ハーバード大学)博士研究員、国際医療福祉大学教授などを経て、2023年6月、東京都世田谷区に「のりまつ整形外科・骨粗しょう症クリニック」を開院、院長となる。整形外科一般診療はもちろんのこと、特にリハビリテーションや骨粗しょう症診療などに強みを活かした医療を展開している。
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