【高校サッカー全力新聞】咲きほこれ秋田・明桜 全国選手権初勝利からの躍進目指す
秋田では1世紀も前から中学軟式野球の大会=「全県少年野球」が開催され、高齢者が楽しめる「500歳野球」も盛んに行われています。“バスケの能代工業”や“ラグビーの秋田工業”も有名ですが、サッカーも歴史が深いのです。 雪深い東北でサッカー文化がまだ盛んではなかった時代、東北に初めて優勝旗をもたらしたのが秋田の高校でした。これまで、全国最多46回の選手権出場の伝統校・秋田商業です。しかし伝統の「赤」秋田商業を2年連続で破り、今大会出場権を手にしたのは秋田の新たな風、「青」の明桜です。 この世代のチームで全県新人5連覇、県総体2連覇、選手権県大会2連覇と、勢いに乗ります。12月28日に開幕を迎える第102 回全国高校サッカー選手権大会。秋田代表の明桜は12月31日の2回戦、沖縄代表の名護と対戦します。
■野球・サッカー・吹奏楽の強豪校
明桜は今年度創立70周年、秋田市にある私立高校です。「野球部」と「男女サッカー部」、それに「吹奏楽部」が強化部に指定されていて、2023年は野球部が「夏の甲子園」に出場しました。 卒業生にはプロ野球・千葉ロッテマリーンズの山口航輝選手や福岡ソフトバンクホークスの風間球打投手、中日ドラゴンズに育成2位で入団した野中天翔投手などがいます。野球部の甲子園での最高成績は旧・秋田経法大附属時代のベスト4です。 そして、その野球部を毎年球場のスタンドから盛り上げるのが吹奏楽部です。東北大会常連の吹奏楽部は、吹奏楽部の甲子園といわれる「全日本吹奏楽コンクール」に今年初出場し、地区大会を勝ち抜いた30校の中で銀賞を獲得しました。 サッカー部の全国大会での最高成績は1984年の夏のインターハイでのベスト8。冬の選手権ではまだ白星を挙げられていません。今大会が6回目の出場で、初勝利を狙います。
■「選手権初白星を狙う」明桜
明桜は原美彦(よしひこ)監督が就任した2018年以降に力をつけ、全国大会出場は夏のインターハイが2回、冬の選手権は3回目です。 今回の選手権の初戦で、明桜は沖縄代表・名護と対戦します。原監督にとって、沖縄代表は因縁とも言える相手です。自身が明桜を率いて初めて全国大会に出場した第99回大会の初戦で沖縄の那覇西に敗れていました。「3対4と、点を奪い合って敗れた苦い経験がある」と3大会前の記憶がよぎります。 それでも今年のチームについて「より一層自主的に活動するチームに仕上がった。自主的にミーティングを行い、選手同士で話し、一体感があるチーム。監督である自分が発言せずとも察知する力がある。選手が自主的に改善するようになった」と語ります。 その上で原監督は「止める、はね返す、拾う、走る、の向上に取り組んできた。やることはどこが相手でも変わらない」と初戦を見据えました。 その原監督が“第二の監督”と信頼を置くのが、GKの川村晃生(こうせい)主将です。川村選手は1年生の時からレギュラーをつかみ、2年生の夏のインターハイから数え今回が4回目の全国大会となります。 「今回こそ全国で1勝を挙げられるように情熱を持って戦いたい」と意気込みを述べています。 FW臼田成那(せな)選手はチームのエースストライカーです。前回の全国選手権、今年度のインターハイと、全国の舞台でゴールネットを揺らせずに初戦敗退という苦汁をなめたストライカーはチームを勝利に導くためのゴールを狙います。 1984年度の第63回大会に旧校名の秋田経法大附属として初出場して以降、全国選手権で白星を挙げられていない明桜。今回6回目の出場で初勝利から躍進を狙います。明桜の初戦は12月31日、沖縄代表の名護との2回戦です。 (取材・文:高校サッカー選手権民放43社/ABS秋田放送)