全日本で5区を走る予定が、右太もも裏の張りで見送りに…… 青山学院大ルーキー・安島莉玖「箱根駅伝は8区を走って2連覇を」
11月10日にあった第19回世田谷246ハーフマラソンで、青山学院大のルーキー・安島(あんじま)莉玖(1年、大垣日大)が優勝した。全日本大学駅伝にエントリーされながらも、けがで回避した安島。箱根駅伝での快走を誓った。 【写真】表彰台を独占し、記念撮影に応じる青山学院大の中村海斗、安島莉玖、平松享祐
ラスト勝負に競り勝ち「練習の成果が出た」
このレースは例年、青山学院大にとって箱根駅伝メンバー選考にもかかわる重要なレースとなっている。エントリーにはキャプテンの田中悠登(4年、敦賀気比)の名前もあったが、この日出走したのは、1・2年の下級生たちだった。安島は自身初のハーフマラソンながら、終始先頭付近でレースをすすめ、ラストのトラックで平松享祐(2年、中部大一)と中村海斗(2年、世羅)を振り切り、優勝を飾った。 安島は高校2年時に全国高校駅伝に出場し、エース区間の1区で区間10位。都道府県対抗男子駅伝でも岐阜県代表として高2、3年時に出走し、前回は1区区間3位と好成績を残している。 11月の全日本大学駅伝ではエントリーメンバーに入っていたが、出走はかなわず。実は5区を走る予定だったが、大会の5日前に右のハムストリングスに張りを感じた。「ここで走ったらチームに迷惑がかかる」と考え、自ら申し出てメンバーから外れた。「チームの勝利のためには、自分の走りたい気持ちを抑えなければと思いました」。そこからは少し休み、このレースに合わせてきた。 安島にとって初めてのハーフマラソン。高校でロードを走ったのは10kmまでだ。5km以上になると乳酸がたまってくるタイミングがあり、その時に無理に粘ろうとして動きを速くしたり、ペースを維持したりするのではなく、あえて楽をして乳酸を処理して次につなげる……ということを高校時代から心がけて走ってきたといい、今回も高校時代の経験を生かしてハーフを走りきった。 常に先頭付近でレースを進めていたが、「心臓破りの坂」でトップに出て、後ろを引き離した。しかしその後佐藤愛斗(1年、小林)に前に出られ、30mほど差をつけられてしまった。「そこでもう無理かなと思ったんですけど、そこからもう一度坂があったので切り替えて、差を詰めることができました」 ラスト勝負に競り勝ったことについてたずねると「大学に入ってジョギングのあとに流しをやるようになりました。自分はスピードが出ないんですけど、しっかりきつい中で動かすことを意識してやってきたので、その練習の成果が出たかなと思います」と手応えを語る。ハーフの距離は「苦しかったけど、意外とあっという間でした」といい、「これで5000m、10000mが楽に感じるのかなというのもあります」と大物ぶりものぞかせる。