【闘病】「顔が変わった」と周囲に言われ、身長は伸び手足も肥大『先端巨大症』
「先端巨大症」という病気を知っていますか? 題名にあるとおり、身長が伸びたり、手足が大きくなったり、顔貌(かおかたち)が変化する病気だそうです。この聞き慣れない病気を患った、そらさん(仮称)に話を聞きました。 果たして、どのようにして発覚に至ったのか。その経緯や治療内容も教えてもらいます。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年2月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
今思えば多くの自覚症状があったが、加齢が原因だと思っていた
編集部: まず初めに、そらさんが抱えている疾患について教えてください。 そらさん: 先端巨大症といって、下垂体に機能性の腺腫ができることにより、成長ホルモンが過剰に分泌され、骨、軟部組織が肥大化し、顔貌が変化します。足、指のサイズが大きくなり、思春期までに発症すると身長も大きくなります。 さらに、代謝異常によりさまざまな合併症を引き起こします。私の場合、腺腫のサイズは14~18mmぐらいだったと思います。 編集部: 病気が判明した経緯について教えてください。 そらさん: 会社の健康診断で、のどもとを触診した医師から、甲状腺が腫れているようだから専門の医師に診てもらうようにと言われました。最初は甲状腺の病気だと思い、甲状腺専門の医師を訪ねました。 「甲状腺が腫れていると言われて……」と言うやいなや、手と舌を見せるように言われ、足と指のサイズを聞かれ、身長は大きくなったかと質問されました。「はい」と答えました。 そこで検査前の段階の推測でしたが、「先端巨大症」である確率が非常に高いだろうと言われました。のちに考えると、その先生は、顔貌で気づかれたのだろうと思います。 その後大学病院で血液検査、MRIなどを行った結果から、確定診断は下せないものの、ほぼ確定だろうと言われました。 編集部: 自覚症状などはあったのでしょうか? そらさん: 思い起こすとたくさんあります。身長が2~3cm、足は1cm、指輪のサイズは3号ほど大きくなりました。そして、19歳のころから月経不順もありました。また、顔には皮脂が多く出て、大きなニキビが顔にできていました。 同じころから、耳垢は湿りだし、25歳ごろから汗っかきになりました。20代後半~30歳ごろには、鼻が大きくなったり、唇が厚くなったりしたことをなんとなく感じていました。このような変化は、加齢や太ったことが原因だと思っていました。 顔貌の変化を徐々に感じていたのか、発覚までの10数年、自分の顔が写っている写真がほとんどありません。 編集部: なるほど。そのほかに自覚症状はありましたか? そらさん: 病気発覚の3年ほど前から睡眠時に強い動悸や荒い呼吸で目が覚めることが何度もありました。また寝ても疲れが取れず、いびきを指摘されたことがありました。 検査入院で睡眠時無呼吸症候群の検査をしましたが、軽度のものだと言われました。これはおそらく巨舌によるもので、術後改善されました。 編集部: どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか? そらさん: まずは検査入院をして、国の診断基準に従って、確定診断を下すということでした。また成長ホルモン分泌亢進症以外の疾患も併発している可能性があるため、その検査もしなければならないとのことでした。 その後、内視鏡下経鼻的下垂体手術にて腫瘍の摘出を行い、手術後に再度すべての血液検査を行いました。 手術で腫瘍を取り除く際に下垂体が逆に傷ついてしまい、正常だったホルモンも分泌異常を起こす可能性や成長ホルモンが過少になる可能性があるので、そうなった場合は適宜ホルモン治療を行うということでした。 編集部: 病気が判明したときの心境について教えてください。 そらさん: 「納得。やっと説明がついた」という想いと「なんでもっと早くわからなかったんだ」という気持ちでした。長期にわたる身体の変化すべてが諸症状に当てはまっていました。 20歳のころに月経不順で診察した婦人科で血液検査をしてもらった際に、「下垂体から指令が出ていないよ」と言われたことがありました。「その時に、下垂体含め脳の検査をしておけば……」と非常に悔やまれます。 また実際にMRIで自分の脳の真ん中にある腫瘍を見たとき、頭が真っ白になり、帰りの電車は逆方向に乗ってしまって行ったこともない駅で降りていました。精神的にきつかったのは、顔貌と身体の変化です。 先端巨大症の人の写真はインターネットですぐに見つかりますが、見た目についてはかなりショックでした。判明してから手術までの間4か月ほどあったのですが、めちゃくちゃ泣きましたね。