永遠のケービン① ゆいレールは「鉄道」なのか 帰ってきた令和阿房列車で行こう 第二列車
ただいま鉄道の「ない」沖縄に赴任中のサンケイ1号君は、やはり雨男だった。 5月某日午後、某航空会社の飛行機に乗って那覇空港に降り立った。 なぜ到着時刻やANAかJALかを明記しないかといえば、両社に知り合いがおり、搭乗しなかった方から「なぜウチに乗らなかったのか」と詰問のメールを受けること必定だからだ。 記事で注文を付けている鉄道会社からだけでなく、航空会社からもクレームを受けるのは、小心者として耐え難い。 空は着陸までなんとか持っていた。しかし、到着ロビーで出迎えてくれた1号君と合流し、駐車場にさしかかったと同時に、雨が降り、雷が鳴りだした。なかなかの神通力である。 前回までお読みの方は先刻ご承知の通り、サンケイ2号君に同道してもらった飯田線の旅は好天にめぐまれたが、元祖サンケイ君(以後、2号君と区別するため1号君と表記)との旅は、お約束の雨から始まった。 ただただ、列車に乗って旨(うま)い酒を吞(の)むのを目的としている本稿で、鉄道の「ない」沖縄県を訪ねるのは、自殺行為に等しい。 だが、沖縄には、ゆいレールと呼ばれる跨座(こざ)式モノレール(注)がある。 しかも沖縄には戦前、ケービンと呼ばれた軽便鉄道が、走っていた。沖縄戦直前の昭和20年3月まで那覇を中心に本島に4線(貨物線を含む)計約50キロの路線を有していた。 これは行かずばなるまい。 え? モノレールは鉄道じゃないんじゃないかって? なかなかいい質問である。 これはなかなか難問なのである。実は、ゆいレールなど比較的最近建設されたモノレールは、JRなどに適用される鉄道事業法ではなく、軌道法によって規定されており、法的には鉄道と違うといえば違う。 だが、昭和47年に都市モノレール法が制定される以前に建設された東京モノレールなどは、鉄道事業法に基づいて認可されており、実にややこしい。 ちなみに「軌道」とは、路面電車のように道路上に設置された交通機関を指す。 路面電車は一般に「鉄道」と認識されているから、モノレールも「鉄道」と分類してもおかしくはない。つまり、どっちでも正解なのではないか。