“年収の壁”で「退職を検討」医療を提供する訪問看護事業者は人材確保に苦慮 地方からは“税収減”に懸念の声も【news23】
国民民主党は、与党側がとりまとめる経済対策の原案に「103万円の壁」などを明記するよう求めていましたが、平行線の協議が続いていました。 政府与党が今週中のとりまとめを急ぐ中、19日も行われた政策協議。 自民党 小野寺五典 政調会長 「少しずつ両党の考え方の間合いが詰まってきた」 国民民主党 浜口誠 政調会長 「お互いの距離が縮まってきている」 協議が前進していることをにじませました。 3党は20日にも結論を出したいとしていますが、具体的な103万円の引き上げ幅については、今後も実務者協議が続けられ、攻防が続く見通しです。 一方、壁の見直しについて、地方からは慎重な検討を求める声が上がっています。19日に村上総務大臣のもとを訪れた川崎市の福田市長は… 川崎市 福田紀彦 市長 「年収の壁を突破することで、地方財源が損なわれることがあってはいけない」 人口約150万人の川崎市では、480億円程度の減収が見込まれていて、1年間の税収の12%に当たります。 千葉市 神谷俊一 市長(18日) 「(住民税が)何の手立てもないまま失われたりすると、自治体が個別にやっている子育てや教育の基幹サービスの財源が失われる」 神戸市 久元喜造 市長(18日) 「震災30年から復興して、ようやく今まで手つかずだった神戸の玄関口の三宮の再整備が、相当遅れることになるのは間違いない。代替となる財源をしっかり確保して、影響がないようにしていただきたい」 ■253億円の減収 「子どもの医療費助成」「保育士の確保」できなくなるおそれ 23ジャーナリスト 片山薫 記者: 103万円の壁を178万円まで引き上げると、地方では、住民税と他の交付税も含めると、5兆円の収入が減るといわれています。 千葉市によると、税収は約2000億円あるそうですが、壁の引き上げを行うと、253億円の減収になると試算されています。 例えば、子どもの医療費の助成(34億円)ができなくなるおそれがあります。これは、高校生までは病院で1回300円で診療を受けられるというものです。 さらに、保育士の確保や待遇改善などの費用(34億円)にも影響が出て、保育士の確保ができなくなるおそれがあるそうです。