キーマン直撃 ヤクルト・奥川恭伸、980日ぶり復活勝利…涙の真相 「挫折の経験が自分を強くしてくれる」
「四球がなかったのはよかったけど、細かいコントロールを見たら全く制御できていなかった。何とかしないとという感じです」
本拠地開幕戦だった2022年3月29日の巨人戦で緊急降板。そこから時計の針が止まっていた。ヤクルトファンが待つ神宮で勝つことが「新しいスタート」になる。
「正直、(右肘は)ずっとギリギリのせめぎ合いというか、いつけがをしてもおかしくない状態だったので、けがをしたのが神宮球場という意識はあまりないですけど、そう思う方もいると思うので、払拭したいです。ホームで(勝つ)っていうところにもまた一つ、意味がある。そこでも勝ちたいですね」
困難を乗り越えたいま、「人生初」という挫折は、目標とする「勝てる投手」になるために必要だったと考えている。
「その期間をよく過ごせば、挫折の経験が自分を強くしてくれる。そういう時間も、目標にたどり着くには必要だった。ステップアップの一つの経験として、というふうに思えるようになりました」
チームは5位タイながら首位とは6・5ゲーム差。逆転優勝も射程圏内に捉えている。
「とにかく投げる試合は、全部勝ちに行く気持ちでいきたい。あとは優勝したいです。戻ってきたからにはやっぱり優勝したいという思いが芽生えています。一回きりじゃ駄目なので、しっかり1年を通して投げているところを見せたいです」
復活を遂げた右腕が、V字回復を目指すチームの救世主となる。
▼奥川・今季初登板VTR
右肘痛で緊急降板した2022年3月29日の巨人戦(神宮)以降、リハビリに励んだが、右肘の回復後も左足首の骨折、右足首の捻挫、右脇腹の負傷、腰痛と苦難が続いた。14日のオリックス戦(京セラ)で先発し、808日ぶりの1軍登板を果たした。5回を投げ、一-四回は走者を背負うなど7安打を浴びたが、杉本のソロ本塁打による1失点。最速は151キロを計測した。降板後はナインがリードを死守。5-3でチームは勝利し、レギュラーシーズンでは21年10月8日の阪神戦(神宮)以来、980日ぶりの白星をつかんだ。