危険と隣り合わせの岩場、鎖場に挑戦! 安心して通過するためのテクニックとは
安全に登山をするためには、その場の環境に応じた知識とテクニックが必要。今回は、岩場や鎖場を安全に登るためのコツをご紹介します。 【写真】難易度が高い岩場、鎖場の登り方をチェックする(全6枚)
岩場登りの基本は「3点支持」
そもそも「岩場」とは、岩が露出している箇所を登ったり歩いたりするルートのことを指します。また「鎖場」は、鎖などの補助物がある岩場のこと。まず押さえておきたいのが、岩場を安全に通過するための基本である「3点支持(3点確保)」と呼ばれる技術です。 3点支持とは、両手両足の4点でしっかり地面をとらえた上で、そのうち1点だけを動かして進む方法。四肢でバランスをとり、右足だけを動かして次の足場に足をかけます。その後は左手だけを動かして次の手がかりへ、次は左足だけを動かして次の足場へ…… という形で、3点は動かさず、手足のうち動かすのはどこか「1点だけ」にします。 また、このとき腕に体重がかかりすぎないよう気をつけましょう。腕はあくまでもバランス保持に使い、体重は足で支えてください。
焦りは禁物!「歩幅は小さく」が原則
足を乗せにくい狭い足場では、つま先だけを岩に乗せてください。このとき、足を逆八の字に開いて親指の内側で立つようすると、踏ん張りがきき姿勢が安定します。また、怖くても岩にしがみついてはいけません。体を岩や地面に近づけると、視野が狭くなったり、バランスが崩れたりして危険です。安定した姿勢を心がけ、視野を広く取れるようにしましょう。 手を使って登る場合だけでなく、歩くだけの場面にも重要なコツが。岩場を歩く際は、なるべく歩幅を小さくするのが大切です。移動距離を欲張ると、体のバランスが崩れてしまうため危険。安定した状態を維持し、少しずつ進んでください。
鎖場を楽しむには安全第一!
鎖場を安全に通過するための鉄則は「ひとつのピッチを使うのはひとりまで」です。ピッチとは、鎖が固定してある支点と支点の間のこと。ひとつのピッチに複数人いると、誰かひとりがバランスを崩した際に他の登山者にも危険が及びます。必ず前の人が通過するのを待ってから使用してください。 次に、鎖場の登り方についてです。鎖に全体重を預けている人をよく見かけますが、これは危険なのでNG。バランスが悪くなり、鎖や支点のボルトが腐食していた場合に落下する危険性もあるためです。鎖はあくまで補助のつもりで、できるだけ足の力を使って登ると良いでしょう。 また岩場では、先に登っている人が踏み落とした石などが落ちてくることがあります。怪我防止のためにも、ヘルメットの着用を忘れずに。自身が登る際も落石に注意し、もし石を落としてしまった場合は「落石!」などと声をかけ、周囲に注意喚起します。 岩場や鎖場は、登りがいがある分危険も伴う登山ルートです。しっかりと準備をして、安全第一で挑戦してくださいね。
野中陽平