岩佐歩夢、まさかのノーポイント。痛手となったストール……改善に向けチームの奮起促す「スタートに対するチーム力は最下位」|SF第4戦
富士スピードウェイで行なわれたスーパーフォーミュラ第4戦。ランキング2番手でレースウィークを迎えた岩佐歩夢(TEAM MUGEN)は、11位でまさかのノーポイントに終わった。 【リザルト】スーパーフォーミュラ第4戦富士:決勝結果 予選で2番グリッドを確保した岩佐にとって、決勝ノーポイントの元凶となったのはスタートだった。蹴り出しでアンチストールに入ってしまった岩佐は、ここで一気に11番手まで下がってしまったのだ。 「単純に、クラッチが繋がりすぎてエンジンストールしています。直後に反射的にクラッチを切り直して、バーンナウトして発進していきました」と岩佐は説明するが、中団に飲まれたことで優勝争いに戻ることは難しくなってしまった。 その後は上々のレースペースを刻みながらも、マシンの足回りのフィーリングにも違和感を感じ始めたという岩佐。曰く、「異常な挙動」を感じたためパフォーマンスの全てを出し切ることはできなかったが、ドライバーがリカバリーできる範疇であり、やはりスタートの失敗が全てだったと言える。 最後はセーフティカー出動という一縷の望みに懸け、最終盤までステイアウトを続けていたが功を奏することはなかった岩佐。スタートの改善については語気を強めており、チーム力の高さが評価されるTEAM MUGENはことスタートにおいては「チーム力が最下位」だと警鐘を鳴らした。 「スタートに対するチーム力、アプローチは現状最下位だと思っています」 「僕たちはトータルパフォーマンスで良いパフォーマンスを出しているように見えますし、予選でもレースペースでもそういう結果を出せてはいますが、スタートという一点に関しては、チームパフォーマンスはかなり低い状態にあると思います。そこに対しては誰かひとりの責任ではなく、チーム全員で改善に取り組まないと、今の状況では今後もスタートが決まるフィーリングを誰も全く持っていません」 「スタートについてはチーム力を大幅に上げていかないと、優勝はおろか、チャンピオンシップも戦える状況ではないと思います」 このように、スタートの改善について危機感を口にした岩佐。こう聞くと、「スタート失敗はドライバーのエラーではないのか」と考えてしまいがちだが、今のスーパーフォーミュラでは、ドライバーのミスによるスタート失敗というケースはほとんどないという。そのため、スタートの問題にはチーム全体で取り組む必要があるのだ。 ステアリング裏のパドルでクラッチミートをするスーパーフォーミュラでは、その日の路面コンディションやタイヤの状態など様々な環境を考慮して、クラッチが繋がる“バイトポイント”を設定する。さらにはスロットル開度も、あらかじめマップとして設定される。 岩佐を担当する小池智彦エンジニアはこう解説する。 「スタートはクラッチのバイトポイントがキーポイントで、それに対してスロットルをどれだけ踏むかですが、そこにはスロットルマップがあります。ドライバーの足だけでそれをコントロールするのは難しいので、あまり動かないようなスタートモードのスロットルマップを入れるんです」 「スロットルもクラッチも、基本的には指定されたものを遂行するだけなので、ドライバーが操作ミスをしてスタートをミスすることは、ほぼほぼありません」 さらに岩佐は、スタートに関するアプローチで変更するべき点について具体的な考えを既に持っており、こう語った。 「バイトポイント、スロットル開度のアジャスト、バーンナウトの回数など、タイヤの準備は色々ありますが、実はそこに対してチームでは役割分担してしまっているんですね。全然チームとして一丸となってスタートに取り組めていないのが現状です」 「そこが大きな問題で、TEAM MUGENはチーム力が高いと見られていますが、僕もエンジニアも感じているのは、スタートのチーム力がかなり低いこと。(細かいことではなく)根本的なところです」
戎井健一郎
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