2023年ドラフト“1年後検証”…カープファンから「常広はまだか!」の悲鳴、オリ6位の覚醒はドラフトキング級?《広島・ロッテ・阪神・オリックス編》
今年も大きな盛り上がりを見せたプロ野球のドラフト会議。だが、その真価が問われるのは実はずいぶん先のことでもある。それでも「1年」経てば、各球団の指名選手の見通しも見えてくる。「東都7人衆」などが話題を攫い、「大学生が空前の当たり年」と言われた2023年のドラフト指名選手たちの1年目は、果たしてどうだったのだろうか? 《全3回の3回目/#1、#2を読む》 【写真で比較】「わずか1年で…こんなに変わる?」新人王候補から一軍登板なし、まさかの戦力外通告まで…2023ドラフトで話題だった「東都七人衆」の明暗分かれた現在を見る
広島ファンからは「常広はまだか!」の声⁉
【広島 2023年ドラフト指名選手】 1位 常広羽也斗 22歳 投手 青山学院大 180cm73kg 右投右打 2位 高太一 22歳 投手 大阪商業大 180cm80kg 左投左打 3位 滝田一希 22歳 投手 星槎道都大 183cm77kg 左投左打 4位 仲田侑仁 18歳 内野手 沖縄尚学高 186cm97kg 右投右打 5位 赤塚健利 22歳 投手 中京学院大 195cm109kg 右投右打 育2 佐藤啓介 22歳 内野手 静岡大 182cm95kg 右投左打 【広島 総評】 今季、9月の頭まではなんとかセ・リーグ首位を走っていた広島カープが、その後、9月の終わりまでに、よもやの5勝20敗。ズルズルと後退を重ねて、首位争いどころか、最後はBクラスの4位にまで。カープファンならずとも、誰も予想しなかった結末となった。 そのズルズルが止まらなくなった9月中旬の頃、一部のカープファンの中で叫ばれていたこんな声……「常広はまだか!」。 「2023ドラフト」で、楽天との2球団重複の末に獲得したゴールデンルーキー。アベレージ140キロ台後半の速球に高速フォーク、ユニフォーム姿のシルエットにもスター性があふれ、シーズン当初からでも「カープ投手陣の一角を担うか」と期待されていた1位指名・常広羽也斗(投手・青山学院大)が、春を過ぎても、なかなか出てこない。 肝心の夏場になっても、ウエスタンの実戦登板ですら学生当時の彼らしいメリハリの利いた投球は見られず、勝負どころの9月になってようやく一軍の戦いに駆け付けた。 あまりに遅すぎた援軍。自分のことよりカープの行く末を案じる熱いファンたちの落胆を誘ったものだ。 体調を整えながらの練習、そしてウエスタン登板だったから、成績も中途半端(12試合・2勝6敗・防御率3.96)。終盤での一軍登板11イニングでも、走者を背負っての投球がほとんど。本領発揮は来季持ち越しとなった。 2位・高太一(投手・大阪商業大)、3位・滝田一希(投手・星槎道都大)。2人の大学生投手は、もともと即戦力性より将来性を評価しての指名だったので、それぞれに来季以降の足がかりは作れたようだ。 ウエスタンの先発ローテーションで投げた高投手(14試合2勝5敗・防御率4.88)は、「数字的」には今一つだったが、シーズン後半の登板では5イニング、6イニング、試合を作れる投球も見せたし、何より51イニングでわずか11四球の制球力で低めを突ける投球スタイルが高い実戦力。69安打されて2本塁打だけだったのも、ゾーンの低さを物語っている。 滝田投手の魅力は、プロ球界で珍しいスリークォーターの角度からの速球とスライダー、チェンジアップで三振を奪えること。一方で、四球の多さが課題で、終盤で1試合投げた一軍でも4回2安打5三振4四球。よくも悪くも、「彼らしい」ピッチングになった。 「2023カープドラフト」の嬉しい誤算(失礼! )は、育成2位・佐藤啓介(内野手・静岡大)のファームでの台頭だろう。 シーズン当初から、ウエスタンでリードオフマン、クリーンアップとして強打を発揮(94試合・打率.288・出塁率.366)。何より、夏が5月ごろから4、5カ月続くこの国の炎天下のウエスタン・リーグの実戦と、由宇球場での練習に、1年間大きな故障もなく食らいついていった屈強な心身が頼もしいじゃないか。 同様に、柔軟なバットハンドリングと雄大な飛距離に、将来のクリーンアップ候補の片鱗を見せた4位・仲田侑仁(内野手・沖縄尚学高)の存在も大きな楽しみになりそうだ。 【総合評価 △】
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