シンプルニットと思いきや…?マリーン・セルの三日月セーター【栗山愛以、モードの告白】
そして、コロナ禍以前からマスクをファッションアイテムとして提案していたことも彼女に特別な能力があるのではと思わせる点でした。 「気候変動などの危機から逃れて地下のシェルターで生き延びる人々」をイメージしたシーズンなどで高機能マスクブランドとコラボしたアイテムを展開しており、かっこいいけど普段使いは難しいよねえ、と思いながらショーを見ていましたが、本当に世界中の人々がマスクをして暮らす日々が訪れるとは。 突如生活必需品となり、急いでさまざまなタイプのマスクを購入したのは言うまでもありません。他と一線を画すガスマスク級の見た目で周りを驚かせたものでした。 さて、そんなマリーン・セルが、来月取材を予定しているウィメンズのパリ・ファッション・ウィークに久しぶりに戻ってきます。もし運良くショーを観られるとしたらそれこそパンデミック直前の2020年2月以来。このセーターを着て、ぜひ「三日月族」として参加したいものです。 TEXT BY ITOI KURIYAMA 栗山愛以(くりやまいとい) 1976年生まれ。大阪大大学院で哲学、首都大学東京大学院で社会学を通してファッションについて考察。コム デ ギャルソンのPRを経て2013年よりファションライターに。モード誌を中心に活動中。