カブス・鈴木誠也のトレード話はまだ続く 納得するとは思えない「レギュラーDH」のチーム方針
【球界ここだけの話】トレードはあるのか、ないのか。可能性はいかほどか…。カブスの鈴木誠也外野手(30)が、移籍する〝かもしれない〟という話題が出て、約1カ月が経過した。だが、ここまで表立った動きはない。 【写真】鈴木誠也、大谷翔平を「〝ケチ谷〟って呼んでいます」 「誠也が日本からポスティングされたとき、フルタイムのDHとして出場してくれと言われていたら、彼がその球団と契約していたとは思わない。誠也は日本で素晴らしい守備をこなす選手だった。だからDH起用はうれしいことではない」 12月9日から12日まで開催されたウインターミーティング期間、代理人を務めるジョエル・ウルフ氏(54)は、鈴木の気持ちを代弁するようにそう語った。私はここまで直接、鈴木のコメントを聞いたわけではないが〝守備につきたい〟という強い思いがあることは、想像に難くない。外野手としてここまでのプロキャリアを歩んできたスラッガーとしては、守りながら試合の中でリズムをつくり、打席を迎える、ということが自然だ。 今季132試合に出場し、21本塁打、出塁率・366、打率・283の好成績を残した。強打者の指標となるOPS(長打率+出塁率)は・848の高水準。・850は一般的にオールスタークラスの選手とされる。打線の中核を担う選手をカブスもそう簡単に放出するわけにはいかない、というのが実情だ。 ただ、現状では左翼はハップ(今季、ゴールドグラブ賞受賞、打率・243、25本塁打、86打点、13盗塁)、中堅のレギュラーとして見込まれるクロウ・アームストロング(打率・237、10本塁打、47打点、27盗塁)は俊足で守備のスペシャリストだ。そして、鈴木がレギュラーポジションにしてきた右翼には、トレードでアストロズからタッカー(今季78試合、打率・289、23本塁打、49打点、11盗塁、OPS・993)が加入した。つまり、鈴木の立場はこのままなら「レギュラーDH」ということになる。 「トレードはあり得ることではあるが、可能性は低いと思う」というのが、代理人のウルフ氏の見解。カブスに鈴木をトレードで獲得したいというオファーは、おそらくあるだろう。しかし、鈴木の契約には、トレード拒否条項が含まれる。トレードを打診したチーム次第では、鈴木が移籍先を選べる、ともいえる。
今後の野球人生を考えれば、誠也がこのまま「レギュラーDH」のキャリアで納得するとは思えない。今オフ期間中、そして開幕後も含めて鈴木を巡るトレードの話題は続きそうだ。(山田結軌)