フィアット 600eは可愛いけれど…走り味が弟分500eと違いすぎる!(小沢コージ/自動車ジャーナリスト)
【小沢コージ クルマは乗らなきゃ語れない】 フィアット 600e (車両価格:¥5,850,000/税込み) 【写真】ジープ初のバッテリーEVアベンジャー ◇ ◇ ◇ またまた先が読めなくなってきたEVマーケット。中国では伸びる一方、それ以外は不安定で、特に我がニッポンでは恐らく今年台数を落とすはず。 そんな温度差を如実に感じさせるのが欧州ブランドの新車攻勢だ。商品企画は数年前のEVシフト全盛時代に作られたものなのでしばらくは電動車が続く。その偏重路線が露骨に伺えるのが多国籍ブランドのステランティスで、今年出した新車は硬派アメリカンSUV、ジープ・ラングラーのマイチェンモデルや新型MPVのフィアット・ドブロもあるが近いサイズで2種のコンパクトEVをブランド違いで出してきた。 1つは9月に発表されたフィアット 600e、もう1つはジープ アベンジャーだ。どちらも全長4mチョイのSUVボディのバッテリーEVで、今回は600eに乗ってみた。
弟分500eを上回るインテリアの充実度
印象的なのはそのキュートデザイン。さすがのイタリアンブランドっぽさで、既存のコンパクトEV、500eの兄貴分と言ったキャラクター性。半開きのマナコのごときLEDライトもそっくりで、問答無用の可愛さ。ただしサイズはひと回りデカい。 500eが全長3.6mの5ナンバーサイズで4人乗りとはいえ、正直リアシートは狭いのに対し、600eは全長4.2mとトヨタ ヤリスクロスに近く、全幅も1.78mと手頃。なにより5人乗りでリアシートに普通に成人男性が座れる。 インテリアも500e同様の丸みを帯びたシンプルインパネがオシャレで、『600』のロゴ入り本革ステアリングもいい。 シートもホワイト系のエコレザー表皮採用で、『FIAT』の判で押したようなエンボス処理がカッコいいし、水色の刺繍も日本車にはないブランド感。デジタル性能もイマドキで、7インチのデジタルメーターに10.25インチタッチモニターを備え、そのほかに運転席マッサージ機能やハンズフリーパワーリフトゲート、センサー付きキーレスエントリーシステムなども装備。この辺りは弟分を上回る充実度だ。