さようならオリンピア 大阪新阪急ホテルの老舗バイキング店が60年の歴史に幕 2日から最後のフェア
60年にわたって多くの関西人に愛されてきた梅田の老舗バイキングレストラン「オリンピア」。閉店を来年1月に控えた同店が、最後のフェア「ごちそう感謝祭」を2日(水)から開催する。オリンピアが入る大阪新阪急ホテル(大阪市北区)が2025年1月4日(土)に営業終了するのに伴う閉店で、最後の食べ放題を味わいたいと、すでに多数の予約が入っているという。 【写真】60年前の空気感がリアル!「関西一の偉容」「国鉄大阪駅東北出口前」往時しのばせる新阪急ホテル開業時の新聞広告 大阪新阪急ホテルは、東京オリンピックが開かれ、東海道新幹線が開通した1964(昭和39)年に開業。幅広い客層を取り込むべく「1泊5ドルホテル(1800円/当時1ドル=360円)」として設定、阪急大阪梅田駅やJR大阪駅至近の好立地もあいまって、キタ屈指の人気ホテルとなった。手頃な宿泊料金は、阪急東宝グループの創始者である小林一三(1873~1957)が生前持っていた「特権階級向けではなく、ビジネスマンが利用しやすいホテルを」という構想を引き継ぐ形で決まったという。 国内外から多くの宿泊客を受け入れるとともに、アメリカ大統領来日時、晩さん会が開かれるなど、国際的なもてなしの場としても利用された。だが新型コロナウイルス流行を受け、客室の稼働率が大幅減。2021年、親会社の阪急阪神ホールディングス(HD)は、大阪新阪急ホテルの老朽化が著しく進んでいるとして、営業終了を発表した。 オリンピアは、ホテルとともにオープン。先立って東京で開業した同グループのホテルでバイキングレストランが好評だったことを受けての開店だった。大阪新阪急ホテルに残る資料には、「(バイキング形式は)当時大阪ではめずらしかったことから爆発的な人気を呼び、バイキングブームを巻き起こす引き金となった」とあり、「バイキングの採用は、そのころまだ一般市民には縁のないものと思われていたホテル利用を大衆化することにつながった。新阪急ホテルの功績といえよう」とつづられている。 同店は、シーズンごとに内容の異なるフェアを展開。過去には「100種類のメニュー食べ放題」「ズワイガニ食べ放題」など、スケールの大きなタイトルを打ち出したことも。和・洋・中・デザートコーナーそれぞれに専任シェフを配置し、できたてを含む多様な献立を提供するバイキングとして、毎月1万人以上(2023年度)を集めている。 食事中に盛り上がるのは、メインのデザートを出す前に行われる「パフォーマンスデザート」。巨大モンブランのオブジェをスクリーンに見立て、プロジェクションマッピングを投影したり、客が拍手すると映像のポップコーンが画面いっぱいに“弾け”、デザート「ポップコーンアイスケーキ」が仕上がるといった、ショーのような演出を行い、幅広い年齢層の客を楽しませてきた。大阪新阪急ホテルの広報担当、上野藍さんは「『フェア』の内容を考える際、まるでテーマパークに来ているような面白さや刺激、感動を届けられたらと意識して企画してきました。お客様に『オリンピアらしい』と感じてもらいたいとの思いもありました」と振り返る。 一方、神戸市の男性(58)は、「大阪には多くの食べ放題があるが、オリンピアは唯一無二。びっくりするような仕掛けに、子どもといっしょにときめいた。なくなるのはさびしい」と閉店を惜しんだ。 2日からのフィナーレは、「60年間の感謝の気持ちを込めた」スペシャルメニュー。メバチマグロや黒毛和牛、蝦夷アワビなどのぜいたくな食材を使ったごちそうが登場する。上野さんは「昔を懐かしみ、当時の心温まる思い出話に花を咲かせていただきながら、わくわくした気持ちで味わってもらいたい」と話している。 予約は大阪新阪急ホテル「グルメバイキング『オリンピア』」公式サイトから。
ラジオ関西