展示車1台のみ!! しかも東京の一等地!! なんでポルシェ専門店は成立するの!?
■専門店だからこそ荒波を乗り越えられた
そこから30年、911に特化したポルシェの専門店としてキャリアを積んでいくわけだが、例えばもっと広いお店とか、土地代の安い場所に引っ越すとかは考えなかったのだろうか。 「何度も考えましたし、今でもたまに考えますね。同じ時代の同業の仲間が大きくて綺麗なショールームで中古車販売をしているのを見て羨ましいなって(笑)一度やってみたこともあるんですが、結局別の理由で辞めたし、今ではやっぱり自分のキャラじゃないのかなって思うようになってます。30年もやってこれたのも、無理をしないで自分のペースでやりたいことをやってきたからなんだろうなって」 911、しかも空冷に特化したポルシェの専門店ってかなり条件が厳しい気がするが…。 「いや逆ですよ。911の専門店だったから長く続けてこれたんです。人に言われてポルシェを売っているんじゃなく、自分が好きだから、自分でポルシェを選んで販売している。 これって結構大きなことだと思うんです。 例えば今はSUVブームですが、過去にはいろんなブームがありました。その都度、流行に乗れば利益は大きいかもしれませんが、損失も大きくなる。うちみたいなスタイルだとめちゃくちゃ儲かる訳でもない代わりに、潰れることもない。 例えば今でこそ911は大人気ですが、例えば996の時代なんて全然人気なくて本当にどうしようかと思いましたよ(笑)でも、そういう時代もブレないでやってたおかげで日本全国に大勢のお客さんと繋がれた。これが大きいんです。 20年前にクルマを売ったお客さんがずっと大事にしていてくれて、それがまた戻ってくるなんてこともありますから。それだけ長く同じことを続けられたのも、自分が911を好きだからですしね」
■2拠点のビジネスを今後どうするつもり?
最後の質問。今後も今の2拠点で続けるのか?「一応、そのつもりです。麻布のほうが窓口で、横浜町田のほうが整備やストックヤードですね。 ウチの営業スタッフには『うちは綺麗なショールームに車両を飾ってピカピカに見せるマジックはできないんだから、その分程度の良さで勝負しなくちゃだめなんだ』って言い聞かせています。 ほら、ウチって基本は雨ざらしで露天商みたいなもんですから、車両の綺麗さでは絶対勝てないんで(笑) だからメンテナンスや機械的なコンディションについては徹底的にやりますし、自信があります。それで30年やってきたわけですし。 お客様からよく『他のお店のクルマと比較して検討してもいいですか?』って言われるんですが、うちは全然そうしてもらって構わないんです。むしろ比較してもらえれば状態の良さをわかってもらえるって自信がありますからね」