ニュースパークでインフォグラフィックと新聞整理の企画展
ニュースパーク(日本新聞博物館=横浜市中区日本大通)で企画展「ニュースを伝える情報デザイン~インフォグラフィックと新聞整理の世界~」が開かれている。(ヨコハマ経済新聞) 【写真】能登半島地震発生1カ月のタイミングで地震のメカニズムや被害を紹介 新聞社や、新聞社などに記事を配信する通信社は、ニュースをより多くの人にわかりやすく、時にはより大きなインパクトで伝えるため、記事の文章だけではなく、見出しや写真、グラフ、文字の書体(フォント)などの工夫を続けてきた。企画展では、こうした「情報デザイン」の変遷や特徴を4章にわけて展示・紹介している。 「インフォグラフィックスの世界」の章では、大きな新聞紙面を生かし、写真や地図、図表と文章を組み合わせた迫力あるインフォグラフィックスの実例を紹介。ロシアのウクライナ侵攻1年に合わせ、時系列の変化と地理上の展開をまとめた見開きの紙面や、東日本大震災や能登半島地震で地震発生のメカニズムと被害の様子を一目で理解できるようした紙面などが展示されている。 「フォントの世界」の章では、第2次世界大戦中や戦後、新聞用紙の不足やページ数削減のため、文字のサイズを小さくしても読みやすい紙面を追求し、天地がつぶれた扁平(へんぺい)フォントが導入されたことなども紹介。逆に1980年代以降、新聞読者の高齢化などを受けて、文字が大型化した前後の紙面を並べて見せている。 「新聞整理の世界」の章は、ニュースを見てもらうための見出しやレイアウトの工夫に焦点を当てる。地域の身近なニュースを「魅せる」紙面改革や、1990年代以降に一般化した大型カラー写真の上に記事を配置するレイアウトの例なども紹介している。 現在の新聞製作では、ほとんどの新聞社でコンピューターを使ったレイアウトが行われているが、かつては「整理記者」が、専用の定規「倍尺」(ばいじゃく)と鉛筆を使って「割り付け用紙」にレイアウトし、活字を組んでいた。企画展では、今は貴重となった倍尺や割り付け用紙、活字などの実物も展示している。 12月8日にはトークセッション「ニュースを伝えるデザイナー」が開催され、インフォグラフィックの最前線のデザイナーや記者から、従来は記事が主という感覚が強かったが、最近は写真やデザインの力が認められている、などの報告があった。ネットや動画と連動した試みも広がり、長い裁判の末に無罪となった袴田巌さんの、獄中からの自筆の手紙を映像で紹介する朝日新聞のデジタル特集「巌より」が高く評価されたことも紹介された。 企画展は12月22日まで。開館時間は10時~16時30分。入館料は大人=400円、大学生=300円、高校生=200円、中学生以下無料。
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