今季初のグリズリーズvsレイカーズが7日に開催…八村塁と河村勇輝の日本人対決実現なるか!?
11月7日(現地時間6日)にWOWOWでロサンゼルス・レイカーズとメンフィス・グリズリーズの一戦がグリズリーズのホーム、フェデックス・フォーラムで開催される。レイカーズには八村塁、グリズリーズには河村勇輝が所属しており、同時にコートに立つことがあれば、八村、渡邊雄太(現千葉ジェッツ)以来の日本人対決が実現する。 今回、WOWOW NBA中継の解説でおなじみのバスケットボールアナリスト・佐々木クリス氏に河村の活躍と、両日本人選手の対戦を中心に語ってもらった。
「ホップ」と飛ばして急激に進化する河村勇輝
――今シーズン、予想以上に早く河村選手がNBAデビューをしたことで、八村選手と早くも日本人選手対決が実現するかもしれません。率直にどういう感想をお持ちですか。 佐々木 すごいことですよね。河村選手は(NBAに定着するために)3年計画でと言っていましたが、「ホップ・ステップ・ジャンプ」の「ホップ」をすっ飛ばしたような感じです。河村選手の運というか、好機をつかみ取ってきているのも大きいですよね。 ――八村選手と渡邊雄太選手の顔合わせでNBAでの日本人対決はすでに実現していますが、八村選手、河村選手のそれは別の意味合いがあるのではないでしょうか。 佐々木 八村選手と渡邊選手の時には2人が同時にコートに立った場面(2019年12月14日、当時、八村はワシントン・ウィザーズに、渡邉はグリズリーズに所属)は壮観でした。八村選手と河村選手が同時にコートに立つかどうかは、試合展開にもよるので何とも言えません。ただ、八村選手と渡邊選手は同世代で、2人ともアメリカの大学でチャレンジをして、元々コミュニケーションを取っていましたが、八村選手と河村選手はパリオリンピック前の合宿で初めて顔合わせをして、そこから関係性ができました。その意味では河村選手という新しい日本人NBAプレーヤーが入ってきたことで、また世代がつながっていくという面白さ、ありがたさのようなものがあります。 ――河村選手はアメリカの環境にいち早く順応し、トレーニングキャンプ、プレシーズンを経てチームやファンの心を急速につかみました。バスケットボールの実力もさることながら、そうした文化への順応など人間性のところでもNBAデビューを勝ち取ったように感じます。 佐々木 その両方があってこそのことですよね。河村選手がチームに合流してトレーニングキャンプに入って、ジャ・モラントとのマッチアップでは自分のディフェンスを見せたりだとか、パス一つでも一味違ったものを見せていくとか。そうしたバスケの実力を示したところと、気持ちのポジティブさの両方で勝ち取ったものじゃないでしょうか。Bリーグや日本代表で大舞台を経験しているからこそ、他のエグジビット10(トレーニングキャンプに参加するための無保証契約)やNBAにチャレンジする若手の選手たちとは全然、違うメンタルバランスでプレーができているのだと思います。 プレシーズンの初戦のダラス・マーベリックス戦で河村選手は、出場してすぐにターンオーバーをしてしまいましたが、これが今年1年でNBAデビューをしないと自分のキャリアがどうなるかわからないみたいなドラフト外の選手だったら、そのターンオーバーを引きずって萎縮してしまうかもしれません、しかし、河村選手にはまったくそういうところがありませんでした。実際、自分をすごく客観視できる選手だと思うので、公に自分が3年計画で臨んでいると言ったこともすごいですし、今のところ悪いところがないほどです。 ――河村選手は現状2way契約で、今後は当然、本契約を狙っていくことになります。それを実現するために彼が解消していかねばならない課題にはどういったものがあると考えますか。 佐々木 トム(・ホーバス氏、男子日本代表ヘッドコーチ)さんも言っていた、得点の部分でも河村選手には貪欲にいってほしいです。渡邊選手もメンフィス・ハッスル(グリズリーズ下部のGリーグチーム)の試合で40点取ったんですよね。それでもグリズリーズの本契約はもらえなかった。もちろんその時のチーム状況やプレーするポジションが違いますが、渡邊選手はGリーグでいわば無双状態でした。言い換えればNBAとGリーグには明確な違いがあるわけで、河村選手がハッスルでプレーしたら、それこそオリンピックで見せてくれたような平均20得点5リバウンド7~8アシストといった数字を残さないと説得力が生まれません。 過去のNBAでもマグジー・ボーグス(元シャーロット・ホーネッツほか、身長160センチ)や170センチ台の選手たちが活躍したときは、キャリアのピークで平均2ケタ得点などを3シーズンくらい続けて達成しています。バスケットボールが点を取るスポーツである以上、そこは絶対必要なものだと思います。 河村選手のここまでを見ると、プレシーズンも含めてペイント内でのシュートがほとんど打てていない。昨シーズンのBリーグでは、平均20.9得点を挙げたうちの6.9点はペイント内からの得点で、フリースローも5本くらいは決めているので、基本的には10点くらいはペイント内から取るわけじゃないですか。ホーバスジャパンもそうですが、ペイント内からと3Pでのシュートの比率は1対1が「黄金律」なので、それができるということを証明しないといけないのかなと思います。