「正月遊び」の魅力を子ども達に広める81歳の”おっちゃん” 約5万個の品が並ぶ館長自慢の博物館に潜入
名古屋市港区に昔ながらの「あるもの」を展示した珍しい博物館があります。博物館の中に広がるレトロな空間。中に入ると昔にタイムスリップした感覚を味わえます。 【動画】こまの魅力を伝えるために作った博物館 ずらりと並んだ棚に目を向けるとユニークな形をしたものが。その正体は独楽。 日本だけでなく世界約80カ国の独楽が展示されている「日本独楽博物館」です。 「独楽回し」は、お正月の手軽な遊びとして、昔から親しまれてきました。 博物館の館長は、子どもたちから「こまのおっちゃん」の愛称で親しまれている藤田由仁さん(81)。 ここに展示されている独楽は藤田さんが日本や世界各地から集めるなどして手に入れたもので、その数は約50年間で約5万個に。 元々はサラリーマンとして働いていたという藤田さん。独楽の博物館を始めたきっかけについて「子どもたちに独楽の魅力、楽しさを伝えたかった」と話します。
子どもに独楽の魅力を伝えるため全国、世界各地を飛び回る
藤田さんは元々兵庫県出身で、20代前半に九州に旅行に行った際、たまたま空中で回る独楽を見たことなどがきっかけで独楽に魅了され、物を集めるのが好きだったこともあり、独楽の収集を始めました。 独楽の作り手が少なくなってきていることもあり、独楽の魅力を伝えるため、1980年代に兵庫県芦屋市で小さな博物館を設立。 仕事の都合で名古屋に転勤したあとも再び名古屋市南区に博物館を作ります。 独楽の数も年々増えていき、館内に展示しきれなくなったため、博物館をいまの港区に移転しました。 藤田さんの独楽への愛はこれだけにとどまりません。 2002年には、独楽を様々な地域で普及させたいという思いから「日本こままわし協会」を設立。 博物館で独楽を展示するだけでなく、全国各地の幼稚園などで子どもたちに独楽の魅力を伝え、実際に体験してもらう講演も行っています。 講演のなかには、アメリカ、チリ、マレーシア、韓国など海外まで足を運ぶことも。1年間で約330もの講演をこなしたこともあり、藤田さんは「子どもたちと独楽で交流して自分がものすごく元気をもらえる」と話します。 講演をした後は、子どもたちが「こまのおっちゃん!」と博物館に元気に遊びに来ることも多々。 ゲームやスマートフォンが普及している中、昔ながらの独楽で遊ぶ子どもが少なくなっていますが、それでも「ゲームをやるのもいい。でも独楽がもっと楽しいものなんだと独楽の魅力を伝えられたら」と意気込みます。