「一日三食規則正しくご飯を食べる」は逆にNG!?人生100年時代を元気に長生きするための食習慣とは
「プロテインでタンパク質をとる」 「肉からタンパク質をとる」 長生きする習慣はどっち?
プロテインは、運動後の筋肉増量を目的とする人だけでなく、最近ではダイエットや美容に関心のある人たちにも広く飲まれるようになり、手軽にタンパク質をとる手段として一般的になりました。 日本で流通するプロテインの多くは、ホエイというタンパク質を原料にして作られています。ホエイとは、市販のヨーグルトを開封したときに見られる上澄みの液体に多く含まれ、消化吸収が速いため、タンパク質不足の人の栄養管理に効果的だと言われています。 しかし、ひとつの栄養素だけをとり続けることには注意が必要です。 プロテインをとり過ぎると、体内の過剰なタンパク質を処理する腎臓に大きな負担がかかるからです。実際に、腎臓病の患者さんは、治療のためにタンパク質の摂取量を制限されます。アメリカでは、「プロテイン腎症」とよばれる腎障害が報告されていますが、これはプロテインの過剰摂取が原因と考えられています。 ■人間に必要な栄養素は200種類以上! 体を動かすエネルギーの素になるのは、三大栄養素と言われる炭水化物・タンパク質・脂質です。では、一日あたりの必要量として、炭水化物60gと、タンパク質50gと、脂質30gだけをとっていれば問題ないかというと、そうではありません。 健康な栄養状態を維持するためには、三大栄養素のほかにも、ビタミンやミネラルをはじめ、微量元素とよばれる亜鉛やセレン、コバルトなど、少なくとも200種類以上の栄養素が必要と言われています。セレンやコバルトなどは過剰摂取すると体に毒として作用しますが、一方で、全く摂取しないでいると、貧血や肝機能障害などの欠乏症を起こします。 寝たきりになって口から食べられなくなった人には、点滴などの経管栄養で栄養剤を与えますが、たとえばエレンタール配合内用剤という点滴の成分表には、数十種類の成分が記載されています。それでも足りない栄養素があるため、点滴のみでずっと生き続けることはできません。 同じように、プロテインでタンパク質のみを単体で摂取し続けていると、体に必要な栄養素が欠如して、栄養障害が生じます。バランスのとれた栄養状態を維持するには、日頃から肉や野菜、穀物など自然の食材から栄養をとるようにしましょう。 ■POINT■ プロテインからタンパク質単体を過剰に摂取すると、栄養が偏り腎臓機能に悪影響を及ぼす恐れがあるので注意が必要。健康を維持するための必須栄養素は少なくとも200種類以上あるので、肉や野菜、穀物などから栄養をとることを心掛けよう。 本文は『100歳でも元気なのはどっち?長生きする人・しない人の習慣』(あさ出版)より一部抜粋・編集しています。 画像提供:Adobe Stock