なぜJALの会社更生法適用は叩かれた? なぜ倒産で社長が自己破産? 意外と知らない「倒産」の仕組み(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■法的倒産2:再建型(2)民事再生法
民事再生法の目的は、原則として会社更生法と同じと考えて問題ありません。 こちらは大企業・上場企業だけを対象にしておらず、個人、株式会社や有限会社など中小企業、医療法人や学校法人などすべての法人が対象です。 会社更生法と違う点は、これらの対象が広がっている点と、原則として会社更生法の事業管財人のような管財人が不要ということ(裁判所の命令で選任されることもあります)。 基本的には会社を再建するための制度です。わかりやすく言えば、裁判所の許可と債権者の同意(2分の1以上)を取って、債権者への支払いなどをストップし、経営を再建するというやり方。自力で再建する場合もあれば、スポンサー企業をつけて再建することもあります。 そのため、会社更生法のときと同じく「民事再生法が適用された!」と話題になっても、案外生き残っている会社もあります。ただし、東京商工リサーチの調査によれば、2000年から2016年までの民事再生法を申請した会社の生存率は7,341社中2,136社で29.1%と決して高い成功率ではありません。
■法的倒産3:清算型(1)破産
会社更生法や民事再生法が「再建」なら、こちらは「清算」。株式会社はじめ、様々な法人形態、そして個人での破産があります。事業を停止し、借金などの債務をなくして終わりにする、いわゆるわかりやすい「倒産」ですね。 手続きとしては、裁判所に自己破産の申し立てをして、破産手続きを進めるわけですが、会社自ら申し立てることもできますし、その会社の役員からも、債権者から申し立てることもできます。 倒産の典型例でもある「破産」ですが、破産の申し立てがあると、裁判所は破産管財人を選定します。ほとんどの場合、この破産管財人には弁護士が選ばれ、会社に残った財産を売却して債権者への支払いに当てていきます。 厳密にいえば、「法人」の破産になるのですが、中小企業の場合には銀行からの借り入れなどにはほとんど経営者個人の連帯保証がついているので、経営者も合わせて個人で自己破産することがほとんどです。よく聞く「最後は家や土地も売った」みたいな話は、連帯保証人になっているから「会社も破産、個人も破産」というわけです。 ちなみに、破産しても社長個人の税金や社会保険料などは免除とはなりません。会社が倒産直前ともなれば、様々な未納が出ている可能性がありますが、ここを考慮しておかないと「破産後に、税金の支払いでもう一回お金が足りない」という状況になるので注意が必要です。