在宅勤務中の部下が映画館に!?サボりだと怒る上司を黙らせた、社労士の意外なセリフとは
● 「静かな休暇」が問題に!偽装アイテムも出回っている カタリーナ「こんにちは!社労士のカタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」 佐藤「どうやら、部下が仕事をサボっていたようなんです。それも一度や二度じゃなく、しょっちゅうみたいで。熱心に仕事をする部下だと信頼していたのに、裏切られた気分ですよ」 佐藤は、その日のできごとについて簡単に経緯を説明した。 カタリーナ「なるほど。それはまさに、『静かな休暇』ね」 佐藤「それ、何ですか?」 カタリーナ「上司や同僚に報告せずに、こっそり休みを取ることよ。つまり、働いているように見せかけて、仕事をしていないことをいうの。リモートワークが普及した結果、アメリカのミレニアル世代で特に増えていて、大きな問題になっているわ」 佐藤「とんでもない話だ!こういう人がいると、他の部下たちもサボっているんじゃないかと疑ってしまいますよ。そもそも、PC上ではオンライン状態だったから、離席しているとは思いませんでした」 カタリーナ「困ったことに、キーボードやマウスの操作を偽装して、働いているかのように見せかけるツールが安価に出回っているらしいわ。逆にいうと、商品化しようと思うくらいニーズがあるってことかしら?」 佐藤「それで見抜けなかったのか。姑息なアイテムまで使って偽装するとは。あんな奴、もうクビだ!明日、早速人事部に報告を……」 カタリーナ「まぁ、落ち着いて。もちろん仕事をするフリをして内緒で休みを取っていたのは問題よ。これには厳正に対処する必要があるわ。でもその前に、別の問題もありそうね」 佐藤「というと?」
● 深夜や休日にも、頻繁に業務連絡をしていないか? カタリーナ「佐藤さんは、深夜や休日にも業務連絡を頻繁にしているようね」 佐藤「あぁ、でも即答は強要していませんよ。勤務時間中に返してくれれば……」 カタリーナ「そう思っているのは、あなただけかも。部下からすれば、返答しなくちゃまずいとプレッシャーに感じ、実際に対応しているうちに仕事と休みの時間があいまいになっているかもしれないわ。勤務時間外に対応したからといって、そうした細切れの勤務時間まで報告しているかしら?」 佐藤「いや、それは……」 カタリーナ「だから、『その分ちょっとくらい休んでもいいだろう』と最初は軽い気持ちだったかもしれないわ。それが徐々にエスカレートしてしまった可能性も考えられるんじゃないかしら?それに休暇が申請しにくいという話も出ていたわね。働き詰めで、休暇を取らない人が高く評価されて昇進するような職場風土もあったとか?」 佐藤「ちょっと、部下の肩を持つんですか?」 カタリーナ「そういうわけじゃないわ。でも、問題行動の根底にある原因も考えて対処していかないと、他の人にも似たような問題が起こるかもしれないでしょ?」 佐藤「まぁ、そうですが……」 カタリーナ「いつ、どこにいても働けるリモートワークは便利だけれど、オンとオフをきちんと分けることは大事よ。『つながらない権利』もあるわけだから。それに、休暇を取りやすい環境を作って、メリハリのある組織作りで生産性を高めていくことは、管理職であるあなたの役割でしょ?」 佐藤「それはわかっているんですが……つい自分のように働く人に目をかけていたのかもしれません。彼が働くフリをして休んでいたのはショックでしたが、確かに、業務自体に支障が出ていたわけではないですからね」