ハリス氏、チップ収入の労働者にも一般の最低賃金適用を-政策案発表
(ブルームバーグ): 米大統領選の民主党候補ハリス米副大統領は、サービス業でチップ収入のある従業員に一般的な最低賃金が適用されない現行制度について、これを廃止する方針を示した。ハリス氏は既にチップ収入の非課税化を表明しているが、共和党候補トランプ前大統領との初討論会を10日に控え、さらに踏み込んだ方針を表明した。
ハリス氏は自身のウェブサイトに掲載した政策案で、全般的な最低賃金引き上げに加え、チップ収入のある労働者の賃金が最低賃金を下回ることを容認している制度を、終わらせる考えを示した。民主党は以前からこの動きを推し進めており、2024年の党綱領にも盛り込んである。ハリス氏はまた、サービス業や接客業を対象としたチップ収入非課税化を改めて呼び掛けた。チップ収入非課税化はトランプ氏が最初に提案した。
雇用主はチップを受け取る従業員に最低賃金を下回る賃金を支払うことが容認されている。チップで最低賃金との差額が埋まることを想定した制度だが、低賃金労働者のチップ依存を高めるとの批判も出ている。
ハリス氏とトランプ氏は10日、フィラデルフィアで討論会に臨む。両者の討論会は初めてで、これが唯一となる可能性もある。
ハリス氏は今回ウェブサイトに掲載された政策案で議会に対し、超党派による国境警備強化法案の可決を改めて求めた。同法案は今年いったん超党派で合意がまとまったが、トランプ氏の圧力で否決された。
ウェブサイトでは中国との経済競争を巡る自身の認識も示した。「中国などの競合による不公正な貿易慣行が米労働者の利益を損なうことは容認しない」と言明。自身は「米国の労働者と企業、家族を守るため、中国の不公正な経済慣行に立ち向かってきた」と主張した。
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争については、現政権として人質の帰還と停戦に向けて取り組んでいると改めて説明した。
原題:Harris Vows to End Subminimum Wages in Policy Push Before Debate(抜粋)
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Josh Wingrove