観光地経営「DMO」“まち再生”で外国人客が急増【WBSクロス】
日本政府観光局が11月発表した、1月から10月の訪日外国人客は推計で約3019万2600人となり、過去最速で3000万人を超えました。そんな中、四国のある地方都市に外国人観光客が集まっています。導いたのは、「観光地経営」を行う“DMO”=Destination Management Organization(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)です。いったいどんな組織なんでしょうか。 愛媛県の西部に位置する大洲市。今ここに多くの外国人観光客が訪れています。大洲市は鎌倉時代に築城された大洲城の城下町。人口約4万人の地方都市ですが、江戸時代や明治時代の町並みが残されていて、当時の暮らしぶりを垣間見ることができます。 「建物やこの地域がとても良い雰囲気」(オーストラリアからの観光客) 「混雑していなくて静かだし、“リアル”な日本を感じられる」(タイからの観光客) さらに去年、国際的な観光地のコンテストで大洲市が「文化・伝統保全」部門1位を獲得したことも人気を後押ししています。
この人気の立役者の一人が「キタ・マネジメント」の井上陽祐さん。元商社マンで大洲市のDMOのスタッフです。DMOとは観光地域作り法人のことで、日本では2015年に観光庁が登録制度を開始。大洲市のDMOは民間人、大洲市、地元の伊予銀行などのメンバー24人で構成されています。 「伊予銀行としては地域が元気になれば、預金や融資など銀行の取引にもつながってくるので。長い目で見て、まちを元気にしようと」(伊予銀行の髙岡公三営業本部参与) 大洲市のDMOには地元の銀行が参加したことで、しっかりとした事業の投融資計画を練ることができるようになりました。市もインフラ整備などを担うなどして、民間メンバーを後押しします。 「一番重要視しているのが官と民と金融機関、3者が連携すること。住民の方や地元の事業者をしっかり巻き込んでいかなければいけない」(井上さん) そんな官、民、金融機関が連携する大洲市のDMOの強みを生かし取り組んだのが、空き家を改修した外国人好みの古民家です。再利用できる柱や壁などはありのまま残す一方で、ガラス張りの風呂にリノベーションをするなど、城下町に古民家ホテル31室が完成しています。 古民家ホテルの一つを訪ねると、部屋には鍵がかかった場所がありました。 「所有者から『この場所だけは貸さないでほしい』という希望があった」(井上さん) 部屋の中には仏壇がありました。当初オーナーは先祖を祀るこの部屋に他人が入ることに抵抗感があり、古民家を貸すことを渋っていました。 「最初にボランティアで掃除させて欲しいとお願いし、鍵だけ預かり、管理だけでもさせて欲しいとお願いした」(井上さん) 民間ならではのきめ細かい交渉で、古民家ホテルとして借りることができました。