「外来種管理は人の責任」 環境省職員が高校生へ特別講義 県立大島高校
鹿児島県奄美市名瀬の県立大島高校(貴島邦伸校長)で27日、1学年225人を対象にした特別講義があった。奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎国立公園保護管理企画官(60)が奄美大島のマングース根絶までの道のりを紹介。「駆除されたマングースをはじめ、多くの生き物の命が失われたのはすべて人の責任」と語り、外来種被害予防三原則「入れない、捨てない、拡げない」の徹底を呼び掛けた。 特定外来生物マングースはネズミやハブ対策として1910年に沖縄県に導入された。奄美大島では79年ごろに奄美市名瀬で放されたとされ、その後全島に分布域を広げてアマミノクロウサギやアマミヤマシギなどの希少種を含む在来生物の減少を招いた。地元自治体による駆除が93年にスタートし、2000年からは環境庁(当時)が本格的な捕獲事業を展開。今年9月に島内での根絶が宣言された。
阿部さんは20代で奄美大島に移住し、1989年にNGOを立ち上げてマングースによる生態系への影響などを調査。環境省に入り専従捕獲者チーム「奄美マングースバスターズ」を立ち上げるなど、奄美大島のマングース防除の中心的役割を果たした。 1983年からのマングースの捕獲総数は約3万2千匹で、2000年度から24年度までの環境省の関連事業費は計約36億円。阿部さんは「駆除されたマングースの命や捕食された生き物、混獲死した在来種たちのことを忘れてはいけない。外来種に罪はない。人が責任を持って管理を徹底する必要がある」と生徒たちへ語り掛けた。 生物部に所属しているという生徒は「奄美大島ほど大きな島で既に定着したマングースの根絶は世界に前例がないと知り、驚いた。同じことを起こさないようにまずは外来種について知ることが大事だと思った」と話した。