米政府、SHEINとTemuの調査を開始か。窒息の危険がある安全基準を満たさない衣服を販売
米消費者製品安全委員会(CPSC)は、中国発の電子商取引(EC)サイトであるSHEINとTemuに関して、運営状況の調査を要請しているとの声明をウェブサイトに発表した。「命に関わる乳幼児向け製品」が両サイトで販売されたのを受けてのことだ。 Temuアプリが個人情報を取得しまくっていると米アーカンソー州司法長官が告訴するという話も CPSCのPeter Feldman委員とDouglas Dziak委員は、SHEINおよびTemuを「具体的な懸念がある」サイトと指摘。これら2つを含む外資系ECサイトがどのように規則を遵守し、輸入製品の表示を適切にしているかどうかを評価するよう求めている。 TemuとSHEINはともに、ベビー服やキッチン用品、家電製品などを安価に販売することで知られている。米国のみならず日本でも幅広い人気を勝ちえており、iOS/Androidアプリを提供し、送料無料で利用できる手軽さ・コストの低さを強みとして急速に普及している。 これらサイトで「命に関わる乳幼児向け製品」が販売されているとのニュースが相次ぎ、ついにCPSCも動き始めた。The Informationによると、SHEINで扱っている商品の中には、規制当局が窒息の危険性があると指摘した巾着パーカーなど、複数のベビー用品や子供用品があったという。 またファッション業界メディアFashionDiveは、TemuがCPSCから「子供用パジャマの燃焼性基準」違反と判断されたブランドの製品を販売していると報告していた。 SHEIN広報はCNNの取材に対し、顧客の安全は「最優先事項であり、コンプライアンスプログラムを強化するために数百万ドルを投資している」と回答している。かたやTemuは「当社のプラットフォームを利用する全ての販売者に、製品の安全性に関連するものを含む法律および規制を遵守することを求めている」とコメントした。 昨年、米中経済・安全保障調査委員会(USCC)も「中国のファストファッション・プラットフォーム」がもたらす問題について報告書を発表した。これらプラットフォームが貿易の抜け穴を悪用している疑いがあること、製品の安全性にリスクがある商品の販売、著作権や商標権の侵害、強制労働による商品の製造や販売に対する懸念を表明している。 これに先立ち韓国政府も、TemuやAliExpressで販売されている子供向け製品に発がん性物質が含まれていたと発表していた。少なくとも身体に触れるもの、乳幼児に着せるものに関しては、海外ECサイトの利用を避ける方が無難かもしれない。 Source: CPSC via: Engadget, CNN
多根清史