横浜DeNA、4つのラミ流変革
二つ目にラミレス監督になって選手との意思疎通が高まったことも見逃せない。練習メニューが、英語表記に変わったりしているが、困惑するコーチや選手も居ず(日本語説明もしてある)密なコミュニケーションが目立つ。ラミレス監督は、日本での生活が長いこともあって、簡単な日本語をほとんど理解できるため意思疎通に不自由しない。 球界最年長プレーヤーとなった三浦も「色々と話かけやすい監督でコミュニケーションが取れている」とした上で、「ひとつひとつのプレーを流れでやってしまうのではなく、しっかりと納得して、理解してやる、という部分を大事にしているなと感じます」と、チームの変革を感じ取っていた。 中日戦でも、「ファーストストライクを見逃さずに自分の形で積極的に打つ」というベンチの狙いを打者が実践するなど、その意思疎通が結果にもつながっている。 3つ目の変革が投手陣の整備である。昨季、勝ち頭は久保の8勝で2桁勝利をあげたピッチャーは一人もいなかった。つまり軸となるエースが不在だった。ラミレス監督がキャンプ前に、早々と開幕投手を昨季3勝の山口に命じた狙いはそこにある。 結果、山口に自覚が生まれ、ここまで最多245球を投げ込むなど、ハイペースで調整を続け、新球「ワンシーム」に取り組み、脱皮の予感をさせる。実戦初登板となった14日の中日戦では、3イニングを1安打、4奪三振の内容にまとめあげた。フォークとは違う沈む方をするワンシームも要所で試投。ラミレス監督を「開幕投手は100パーセント疑いない」と喜ばせた。 山口だけでなく、ラミレス監督の同郷のモスコーソも、例年にないハイピッチで調整を進めていて、また「ドラフト1位を2人獲得できた」と評判だった1位の左腕、今永、2位の変則投法、熊原への期待値も高い。 前述の阪神の御子柴スコアラーも、「今永は、いいボールを投げている。先発タイプだろう。熊原には多少制球が甘くともカバーできるくらいの球威がある。投手陣が課題とされているが、数えてみると先発候補が10人ほどいる。どのピッチャーも一皮脱げれば化けるような潜在能力を持っている。開幕まで、しっかりと調整具合を把握していかねばならない」と、注意を払っている。 先発候補には、山口、久保、井納、モスコーソ、三嶋に、昨季、頭角を現した育成上がりの砂田とドラフト1位の石田の両左腕。そこに即戦力ルーキーの今永、熊原、球界最年長の三浦もいる。ローテーション争いは激しいのだ。ストッパー、山崎の超スロー調整が不安だが、脆弱な中継ぎに先発競争から漏れた陣容を回す戦術も可能なのかもしれない。