肝斑って自然に消えるの? 放置するリスクはご存じですか?【医師解説】
肝斑は自然治癒するのか? 60代になれば薄くなるって本当?
編集部: 肝斑は治療で消すことができるのですか? 吉原先生: 適切な治療を行えば、早ければ1か月くらいで「薄くなった」など効果を感じられると思います。 ただし、肝斑に加えてシミが合併していることも多いので、その場合にはまずは肝斑治療を行い、そのあとにシミ治療を行うなど、順序立てて治療スケジュールを考える必要があります。 編集部: 肝斑は自然に消えることはないのですか? 吉原先生: 肝斑は女性ホルモンの影響を強く受けるため、閉経して女性ホルモンの乱れが落ち着いて60代くらいになれば自然に薄くなるとされています。ただし、完全に消失することは稀なので、肝斑が気になる場合には適切な診断と治療が必要になります。 編集部: 肝斑はシミ治療のように、レーザーを照射して一回で治すことはできないのですか? 吉原先生: 老人性色素斑であれば強いレーザーを照射して一度で取り切ることは可能ですが、肝斑の場合にはかえって色が濃くなって再現されることが少なくありません。 そもそも肝斑の治療で重要なのは、「今、皮膚の表面にある色素を外に排出していくこと」と「新しい色素を作らせないようにすること」。この二つを同時に行うことで、初めて治療と予防が実現できるのです。 編集部: 機序が異なる治療を同時に行うことが大事なのですね。 吉原先生: はい。たとえばピコトーニングやピーリングでは「今、表面にある色素を排出する」ことはできるかもしれませんが、排出するより速いペースで新しい色素が作られてしまえば、治療は追いつきません。 一方、内服治療だけでは、「新しい色素を作らせない」ことはできるかもしれませんが、ターンオーバーのリズムが乱れていればなかなか排出が進まず、色素は薄くなりません。 そのためどれか一つの治療法を選択するのではなく、複数を組み合わせることが肝斑治療には重要なのです。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。 吉原先生: 肝斑はご自分で見てもわからないケースもあり、「これはシミなのか? それとも肝斑なのか?」と迷うことも少なくありません。そのため、「シミと思い、自分でできる限りの手をつくしてみたけれど、全然良くならない」といって医療機関を訪れる方も多いのが現状です。 「肝斑と思って長い間、トラネキサム酸を飲んでいただけれど、実は老人性色素斑で、レーザーを一回照射したら簡単に取れてしまった」ということもあります。 自己流の治療は遠回りであり、かえって費用が高額になることもありますから、もし肝斑やシミで悩んでいる場合には、早めに美容皮膚科へご相談することをお勧めします。