肝斑って自然に消えるの? 放置するリスクはご存じですか?【医師解説】
肝斑の治療法 トラネキサム酸・ビタミンC・ビタミンEが有効な理由とは? ニードルRFって何?
編集部: 肝斑はどのようにして治療するのですか? 吉原先生: 肝斑の治療で有効とされているものに、まず、トラネキサム酸やビタミンC、ビタミンEの服用があります。エビデンスもしっかりあり、簡単に取り組める治療法として推奨されています。 編集部: それぞれどのような効果が期待できるのですか? 吉原先生: それを説明する前にまずは紫外線を浴びてから皮膚に色素が沈着するまでの流れを見てみましょう。まず紫外線を浴びると、皮膚の深いところにあるメラノサイトに「メラニンを作りなさい」という信号が出されます。 するとメラノサイトはメラニンという色素を作ります。このときトラネキサム酸には、メラノサイトに対する「メラニンを作りなさい」という信号をブロックする働きが、また、ビタミンCにはメラノサイトでメラニンが作られるのをブロックする働きがあるのです。 編集部: それによってメラニンが作られなくなるのですね。 吉原先生: そのほか、ビタミンCには色が濃いメラニンを薄くするという作用もあります。またビタミンCは不安定な成分で、体内ですぐに働きを失ってしまうのですが、ビタミンEにはビタミンCを手助けするという作用があります。 それから、紫外線は活性酸素を作るのですが、ビタミンEには強い抗酸化作用があるので、この活性酸素を除去する働きも期待できます。また、血流を良くして真皮の環境を整えることで、小じわにも効果があるとされています。 編集部: そのほか、肝斑にはどのような治療法がありますか? 吉原先生: 症例により、ハイドロキノンやトレチノインなどの外用薬を使用することもあります。そのほか、ピーリングやレーザートーニングによる治療を行うこともありますし、近年ではニードルRFという肝斑に特化した治療が主流となりつつあります。 編集部: ニードルRFとはどのような治療ですか? 吉原先生: これはマイクロニードルという細い針を皮膚に刺し、高周波により肌の深部に熱を加えることで、皮膚内部の環境を再構築する治療のこと。 そもそも肝斑のある肌は細胞のDNAが壊れ、メラニンを異常に作り出しています。そのような異常な環境を改善し、健康的な状態へ回復させるのがニードルRFなのです。 編集部: ニードルRFの治療をすることで、肝斑の予防にもなるのですか? 吉原先生: はい、ピーリングやレーザートーニングでも確かに肝斑を薄くすることはできますが、治療をやめるとまた出現してしまうことが少なくありません。しかしニードルRFは皮膚の内部を根本的に作り変えるので、肝斑を治療するだけでなく予防にもなるのです。 編集部: 肝斑を予防するために、日常生活で気をつけた方がいいことはありますか? 吉原先生: 肝斑治療での禁忌は、皮膚に刺激を加えること。そのため紫外線対策を徹底することが大切です。それから「洗顔時にゴシゴシしない」「ブラシを使ってメイクをしない」など、摩擦を避けることも大切です。 編集部: ブラシを使ったメイクもダメなのですね。 吉原先生: ブラシを使うと皮膚に刺激を与えるので、パフでトントンと押さえつけてなじませることをお勧めします。それから気温も肝斑を悪化させる要因になることがわかっており、紫外線対策をしっかりしていても暑いところにいるだけで肝斑が悪化することもあります。 それと関係して、熱いお湯で顔を洗うのも余計に肝斑を悪化させる原因に。顔を洗うときには33度くらいのぬるま湯を使い、シャワーで洗わずに優しく洗うようにしましょう。 編集部: 徹底して、刺激を加えないよう注意しなければならないのですね。 吉原先生: はい。洗顔をするときにはモチモチの泡を立ててやさしく包み込むようにして洗うのが基本。メイクをする時も洗顔をする時も、「皮膚が動かないように意識する」と良いと思います。 編集部: 肝斑は男性にもできるということですが、男性が気をつけるべきことはありますか? 吉原先生: 男性で多いのは、T字の剃刀を使って髭をそることで肝斑が悪化しているケース。T字の剃刀でなく、電動の髭剃りを使うだけで十分、肌への刺激を少なくできますし、もっと肝斑を改善したいのであれば、髭の脱毛をすることがお勧めです。