1年常温保存OKのミートボールも 引き算で食材磨く 石井食品「イシイのおべんとクン ミートボール」(下)
石井食品が変えてきたこと、変えなかったこと
子ども連れで出掛ける際、バッグに忍ばせておく保護者が少なくないという。外出先で子どもが食べられる料理が見当たらないというケースが起こり得るからだ。 食物アレルギーを抱えている場合はさらに選択肢が狭まりがち。食品添加物を使っていないことに加え、「イシイのおべんとクン ミートボール」は卵や乳成分も使っていない点でも心強い。 不動のロングセラーだが、様々な改良や改善が重ねられている。象徴的といえるのは、「家庭にない食材は使用しない『引き算』の考え方」(古屋氏)だろう。 これまでに削った原材料は数多い。1997年の調味料(アミノ酸ほか)、2001年のチキンブイヨン、2006年のショートニング、脱脂粉乳、イーストフード、卵白、コショウ、菜種油、2019年の水あめと続く。 製造過程において保存料、甘味料、着色料、香料など、通常の「家庭の台所にない食品添加物は使わない」という「無添加調理」は子育て世帯から得ている信頼感の源泉といえる。 「引き算」だけではない。好ましい原材料への切り替えも重ねてきた。 例えば、2023年2月からはイタリアでの有機農法の先駆者として名高い「アルチェネロ」のトマトペーストを使っている。「オーガニックのパイオニアであり、持続可能な農業を支援することにもつながる」(古屋氏)。将来的にはタマネギやパン粉に関しても有機化が視野に入っているという。 逆に、変えていない点もある。たとえば、ミートボールのサイズ。しばしば「1個の大きさが小さくなった気がする」といった書き込みがネット上でみられるが、これは勘違いだという。 1979年のリニューアル以降、「サイズも数も変わっていない。食べる人が大人になって、子ども時代の印象とずれが生じている可能性が高い」(古屋氏)。 サイズを変えないのは、子どもの口で食べやすい大きさをリサーチして決めてあるから。弁当の隙間に収めやすい寸法も考慮されている。 10個入りは弁当に入れる際、2人分は5個ずつといった具合に分けやすい。内容量120グラム(固形量75グラム)は食べ応えも十分だ。