習主席「四つのレッドライン」強調-トランプ次期米政権にメッセージ
(ブルームバーグ): 中国の習近平国家主席は、来年1月に退任するバイデン米大統領との最後の首脳会談で、トランプ次期米大統領に明確なメッセージを送った。中国は友人になりたいが、必要なら闘う用意があるというものだ。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催されたペルーのリマで16日、米中首脳会談が行われた。トランプ氏への向き合い方を示す機会と捉えた習氏は、米中は「新たな冷戦」を戦うべきでなく、衝突は不可避でないと強調した。それには両国がうまくやっていく道を見いだす必要がある。
習氏はその一方で、中国の「四つのレッドライン(越えてはならない一線)」にあらためて言及。中国共産党支配の弱体化、中国の民主化の後押し、中国の経済的発展の阻害、台湾独立支援の動きをトランプ氏が避ける必要性を示唆した。中国国営中央テレビ(CCTV)を含む国営メディアは、四つのレッドラインに触れた発言を取り上げ、今後の米中関係の課題を提起すると伝えた。
習氏は会談後に発表した声明で、「それらに挑んではならない。米中関係にとって最も重要なガードレールであり、安全網だ」と訴えた。
バイデン氏との事実上最後の会談を受けた長い声明は、中国が最悪の事態に備えながらも最善を期待している状況をうかがわせる。トランプ氏は中国への60%の関税賦課を予告しているほか、次期国務長官にマルコ・ルビオ上院議員、次期国家安全保障担当補佐官にマイケル・ウォルツ下院議員を指名するなど、外交政策チームに対中強硬派を起用する意向だ。
それでもトランプ氏は米国が台湾をどの程度支援すべきか疑問を提起し、中国ビジネスに大きな利害関係を持つイーロン・マスク氏と関係を深めている。マスク氏は2023年に台湾が「中国の不可欠な部分」と発言し、台湾指導部から非難された。
関税の脅しがトランプ氏の大統領1期目と同様に交渉の出発点になるのか、同氏が中国阻止を目指すイデオロギー的傾向を強めているのかは不明だ。