軍用機の領空侵犯…北京を訪問した日中友好議員連盟に中国はどう説明?
仮に意図的であったとしたら、中国側の狙いはどこにあるのだろうか? 「領空侵犯、または領海侵犯という事実を積み重ねるため」、また「アメリカ主導の『対中包囲網』。その包囲網に積極的に加わる日本に対する示威行動」、さらには「次の首相を選ぶ自民党総裁選挙を前に、日本をけん制した」。こんな見方がある。いずれも、推測の域を出ない。 中国が領有を主張する南西諸島であれば、「ここは中国のものだ」という示威行為かもしれない。九州本土のすぐ近くの男女群島沖で起きた領空侵犯には、背景を探るのは困難だ。いずれにせよ、日中議員連盟の訪中団に対しても、明確な説明はなかったようだ。 ■二階氏をもってしても姿を見せない習近平氏 先ほど、会見に応じたのは趙楽際氏を、中国共産党序列3位と紹介した。これは共産党の最高意思決定機関、政治局常務委員における序列の順番で、日本のメディアもそう紹介している。ただし、現在の習近平主席に権力が集中する一強体制において、習近平氏というナンバー1のほかには、ナンバー2以下はいない。だから、会見に応じたのは趙楽際氏も、自らの言葉で話すこともできないのだろう。 習近平氏は、共産党のトップ、国家のトップ、それに軍のトップも兼務している。軍のトップである習近平氏が、自分が最高位の指揮権限を持つ軍の飛行機が隣国・日本の領空を侵犯した、という事件をどうみるか、だれもが注目している。 5年ぶりに実現した日中友好議員連盟の中国訪問はきょう29日までだが、訪中団が望んだ習近平氏との会見は実現しないだろう。ちなみに、議員たちが北京を訪問した27日以降、中国の国営メディアは、習近平氏の動静を報道していない。「今は自分が出るタイミングではない」ということかもしれない。 遡ること9年前の2015年5月には「二階元幹事長の3000人訪中団」があった。二階氏は、日本の観光業界の関係者ら約3000人を引き連れて中国を訪れ、北京の人民大会堂で、日中の観光交流イベントが開かれた。当時、二階氏とそろって習近平氏が壇上に上がった。