軍用機の領空侵犯…北京を訪問した日中友好議員連盟に中国はどう説明?
地図で測ってみたが、福岡市中心部から、領空侵犯が起きた男女群島の南東エリアまでの距離は、わずか約250キロ。沖縄の離島・南西諸島での出来事ではない。我々のそう遠くない空で、中国の軍用機が飛来して回っているという現実を我々は重く受け止めなくてはいけない。 ■北京入りした日中友好議員連盟の会見に現れたのは… 翌27日、日中友好議員連盟の一行が北京入りした。議員連盟会長の二階俊博・元自民党幹事長、自民党の森山裕総務会長、立憲民主党の岡田克也幹事長ら与野党の10人。議連の訪中はコロナ禍もあって5年ぶりだ。先細りする日中間のパイプだが、中国に広い人脈を持つ二階氏が率いるだけに、訪中が注目された。当然、領空侵犯についても中国側に言及しなくてはいけない。 中国の最高指導部から誰が会見に出てくるか。それも注目点の一つだった。どのレベルが登場するかで、その時その時の日中関係のレベル、温度がわかるからだ。昨日28日に会見に応じたのは中国共産党序列3位の趙楽際・全人代常務委員長(国会議長)だった。会見を終えた二階氏の説明によると、趙楽際氏は領空侵犯について「意図的ではなかった」と日本の議員に説明したようだ。 趙楽際氏の発言が伝聞なので、ニュアンスははっきりわからない。ただ、中国は今回の領空侵犯事件について、きちんと領空侵犯をしたという事実は、認めないだろう。「我々は領空侵犯の考えはない」「意図的ではない」ということで、対応を統一していくのだろう。 その前日、中国外務省のスポークスマンもこうコメントしている。「強調したいのは、中国はいかなる国の領空にも侵入する考えはないということだ」。もちろん、中国の軍部が行った行動について、中国の外務省が発言できる権限はない。外務省にとって、言えることの精一杯の範囲だろう。 領空侵犯を「偶発的な出来事」とするには、軍用機の乗務員のミスなり、計器のトラブルなり、その理由を説明しなければいけない。だが、「中国の言い分を100%は信用できない」と、多くの日本人は感じている。偶発的であれ、意図的であれ、中国は日本に明確に謝ることはないだろう。