2017年度東京都予算案 都債発行残高は5兆6000億円
小池百合子東京都知事が初めて編成した2017年度都予算案が22日から始まる都議会で審議されます。そのうち政策的経費にあたる一般会計の歳入では、新たな都債の発行額を前年度より551億円減らし、約3000億円に抑えました。対照的に歳出の公債費は、前年度より599億円多い約5000億円で、過去に発行した都債の償還を進めています。その結果、都債残高は前年度比22億円減の約5兆6000億円となっています。 「2017年度東京都予算案の概要」から都債を中心にみていきます。 2017年度東京都予算案 都税収入は6年ぶり減 一般会計は約7兆円
都債発行額は前年度比15.6%減 公債費は同13.6%増
都債とは都が発行する地方債です。地方債は、原則として投資的経費(建設事業関係の経費)の一定部分に充てていて、その資金は市場公募資金など国内資金と、外貨建て資金などの国外資金から借り入れます。都の場合も10年債や中期・超長期債などの市場公募債を銀行・証券会社に委託しています。そしてそれら過去に発行した地方債の元金と利子(元利償還金)の返済金が公債費です(イメージ1)。 都の新年度予算案では、投資的経費が13年ぶりに前年度を下回ったこともあり、新たな都債の発行額は2983億円(前年度比15.6%減)と少なくなりました。また「公債費」は、前年度比13.6%増と都債の償還を進め、5002億円を見込んでいます。
1兆円を超える都債が発行された年度も ピーク時の残高は約7兆6000億円
都債の発行額は、過去の知事によって大きく異なります。鈴木俊一都政だった1993年度は、1兆585億円の都債を発行。後任の青島幸男知事の都政でも、毎年5000億円から9000億円近い都債が発行されてきました(グラフ1)。当時はいわゆるバブル経済が破綻し、都税収入が落ち込んでいましたが、一般会計の財政規模が7兆円近い額を維持していた期間がありました。
そのころの大量発行が響き、93年度約3兆円だった都債残高は、2001年度までの8年で7兆6384億円まで膨れ上がります。青島知事後任の石原慎太郎知事が、都職員の給与削減による財政健全化に取り組み、都債発行額も減少。2007年度は1573億円、2015年度1562億円(舛添要一前知事当時)に抑えられるなど、新年度予算案での都債残高は、ピークだった2001年度より26.7%少ない5兆5981億円を見込んでいます(グラフ2)。