「よくできたね」は禁句です!部下、後輩への〈ほめ方〉で損する人・得する人の「決定的な違い」
仕事をしていたら、「ほめる」ということがあると思います。しかし、このほめる、そう簡単ではありません。他のやりとりと異なり、個人から個人へ伝えることが多い。だから相手の個性や経験はもちろん、お互いの関係性にも大きく左右されます。過程をほめてほしい人もいれば、何より結果を評価してほしい人もいる。ツボが千差万別な上に、ありきたりなほめ方ではモチベーションも上がりません。 【写真】人事評価で「上位5%」に入った人たちの働き方「驚きの共通点」 「ほめるのではなく、感謝を伝える。これがポイントです。とてもシンプルですが、上から目線を避けるとても有効な考え方です」 そう語るのは、「仕事さがしはIndeed」他、国内外20以上受賞の元電通コピーライター・藤田卓也氏。同氏の新刊『伝え方で損する人 得する人』から一部抜粋、編集してお届けします。
賞賛するのではなく「感謝」をする
80年以上も愛読されているデール・カーネギー氏のベストセラー『人を動かす』。そこには、「まずほめる」というパートが出てくるほど、ほめるというのは普遍的な力のあるコミュニケーションです。実際、ほめてもらえたことで一気にモチベーションが高まった経験のある方も多いのではないでしょうか。 一方で、ほめることの難しさもあります。他のやりとりと異なり、個人から個人へ伝えることが多い。だから相手の個性や経験はもちろん、お互いの関係性にも大きく左右されます。 過程をほめてほしい人もいれば、何より結果を評価してほしい人もいる。ツボが千差万別な上に、ありきたりなほめ方ではモチベーションも上がりません。相手に合わせていく難しさのあるコミュニケーションです。 そして意外と厄介なのが、上から目線問題です。ほめる側とほめられる側は、そのまま上下関係のように見えてしまう。 もしも、ほめる人が上で、ほめられる人が下、とあなたが考えているのなら、相手をほめようとするとついつい上から目線がにじんでしまうでしょう。プロジェクトが終わったときに「よくやってくれた」と声をかけるのはその典型ですね。 この上から目線が強くなれば強くなるほど、ほめているつもりがむしろ「次回はもっと成長していこうな」という無言の圧力をかけているように思えてしまいます。せっかくのほめが、嬉しくないものに変わってしまう。ほめた結果、逆にプレッシャーや不安を増してしまうのです。 もう一つ、ほめるコミュニケーションにはリスクがあります。賞賛された行動から離れなくなってしまうのです。例えば、「論点整理が的確で、あなたは優秀だね」と成果を賞賛されると、それを再現したくなってしまうのが人の性です。 それだけならまだいいのです。問題は、それと異なる仕事を避けてしまうこと。仕事はケースバイケースなことがほとんどですから、本当なら整理するよりも手前の、可能性の薄い案もひっくるめて幅広く検討することに時間をかけるべき場合もあるでしょう。 ですが、きちんと整理して見せたことを賞賛された経験が邪魔してしまい、柔軟な対応がうまくできなくなってしまうわけです。 ほめるのではなく、感謝を伝える。これがポイントです。「仕事が早くて優秀だね」ではなく、「最新のデータをすぐ反映してくれて、助かりました」のように、ありがとうという気持ちを伝えれば、上からではなく同じ立場からのメッセージになります。とてもシンプルですが、上から目線を避けるとても有効な考え方です。 「あなたは」「あなたの」とほめるのではなく、常に「私は」「私が」を交えて言葉にするイメージです。感謝を伝えていけば、一つの行動に縛られすぎず、周囲に感謝されるために必要なことをしっかり見つめ直すようになるはずです。