「よくできたね」は禁句です!部下、後輩への〈ほめ方〉で損する人・得する人の「決定的な違い」
子どもと大人では効果的なほめ方が違う
子どもに対するほめ方を研究した事例をご紹介します。 (1) 能力をほめる(例:あなたは本当に頭がいいですね) (2) 努力できる人間性をほめる(例:あなたは一生懸命取り組める人ですね) (3) 努力をほめる(例:この課題に一生懸命取り組みましたね) この3つの中で、どのほめ方が効果的だったでしょうか。それは、3つ目の努力をほめるアプローチ。能力をほめてしまうと、うまくいかなかったときに「自分の能力が低いんだ」と考えてしまい、さらに難しい課題に挑戦しにくくなってしまいます。 努力できる人間性をほめると、今度はうまくいかないとき、「自分は努力ができない人間になってしまっている」と余計ネガティブに感じ取ってしまう。だから結果ではなく過程である努力そのものをほめることで、次もまた挑戦しよう、もっと難しいことに挑戦しようというマインドセットが育まれていくわけです。 ところが、大人はそう簡単ではありません。大人の場合を検証したところ、努力をほめるのが効果的ではあったものの、子どもの場合のような明確な差はなかったそうです。大人は知性も高く、経験も豊富。ちょっとやそっとほめられたくらいでは、響きにくいのかもしれません。 大人に対して、魔法のほめ方はありません。たった一度で事態が好転するような、そんな幻想を追い求めるのではなく、どうほめるとよいのでしょうか。 大切なのは、繰り返すことです。抜群に効くアプローチや秘訣がない以上、コツコツと積み上げていくしかありません。 業務に慣れようと毎日頑張っているのならその努力を、素晴らしいコミュニケーションスキルで取引先と向き合っているのならその人間性を、その人ならではの視点と思考で鋭い分析をまとめ上げているのならその能力を、何度もほめていく。 ここでは、本当に感じたことを素直に伝えるための伝え方をピックアップしました。たった一度で相手のモチベーションを激変させるような魔法のほめ方はありません。むしろ、それを狙って大袈裟な表現を使えば使うほど、逆効果です。 「死ぬほど助かった」「無限にアイデア出せるんだね」「神すぎて涙腺崩壊した」といった誇張ワードはSNSでは印象に残りますが、日常ではシンプルに嘘です。 本当に感じたことを、なるべく誇張せず、こまめに伝える。賞賛ではなく、あなたから見た感謝を伝える。そういう言葉選びができるようになれば、気づいたらすぐ伝えることができるようになります。タイミングを逃さずほめることができれば、奇をてらった言葉でなくとも十分印象に残ります。