平凡でも特別でも学生時代は生きづらい――尾崎世界観と花澤香菜が回想する、中高生時代の「どうにもならない日々」
変なあだ名をつけられながらバイトを続けていくのかな
27歳でメジャーデビューした遅咲きの尾崎と、幼稚園時代から子役として活躍してきた花澤。尾崎は悩み多き学生時代を過ごしてきた。 花澤 小さい頃から今のようなご自分をイメージできていたんですか? 尾崎 できてないですね、僕は。勉強も運動もできなかったので、何もできないというコンプレックスがずっとありました。学校にいる限りは絶対に評価されないから、早くそこをスキップしたかった。中学に行ってもダメ、高校もダメ。卒業してバンドを始めてさらに地獄になったので、もうこれは覚悟を決めるしかないって思いました(笑)。10代後半から20代半ばぐらいまでは、ほんとに「このままずっと、バンドしながらバイトを続けて、陰で変なあだ名とかつけられるのかな……」と思ってました。 花澤 具体的ですね(笑)。 尾崎 「あいつ、また休みかよ」「売れないくせにライブなんかしてんじゃねえよ」って言われながら……。 花澤 どうやって自分の気持ちをキープしてたんですか? 尾崎 妄想ばかりしてました。「武道館でライブ」とかじゃなくて、もっと現実的に、例えば「次のライブだったら、お客さんの中にこういうレコード会社の人がいて、声をかけられるかも」とか、かなりリアルに。その妄想ができる限りは続けようと思っていました。いまだにそうですね。目標があるときは、必ずちゃんと明確に頭の中で考えて具体化します。 花澤 すごい。
尾崎 花澤さんは、どういうふうに自分のやりたいことに向かって考えを持っていくんですか? 花澤 私の場合はひとりで何かをするのではなくて、作品の一部として必要としてもらうために、自分の引き出しを増やそう、深めようと、ずっとしている状態で。モチベーションは「もっと上手になりたい」とか、そんなシンプルなものだと思います。 尾崎 そうか、花澤さんと僕は、子どもの頃からそういった部分は真逆なんですね。人が作ったものに入っていくのと、自分が作ったものに入ってきてもらう。それぞれに違ったむずかしさがありますよね。 花澤 尾崎さんは、若い頃のご自分に何か声をかけるとしたら、何と言いたいですか? 尾崎 「今、悔しかったり負けてると思ったりしてるやつに、全員勝てるぞ」って言いたいです。 花澤 わあ! 尾崎 花澤さんは? 花澤 私は、「何とかなるって思ってるかもしれないけど、自分で踏み出さないと、何ともならないよ」って言いたい。若い頃は、周りの状況に甘えていたなという自覚があるので。 尾崎 真逆のアドバイスですね(笑)。 花澤 それでもなんとか今、どうにかなっているのはありがたいことかなって。 尾崎 そう。今も、心のどこかで先々について、どうにかなると思っていますね。 花澤 それぞれに「どうにかなる日々」がある。 尾崎 そうですね。