道の“空きスペース”活用 「自動物流道路」社会実験へ【WBS】
深刻化するトラックドライバー不足。政府はそれを解決する革新的な物流システムの実現に向けて動き出しました。高速道路などの空きスペースを利用して自動で荷物を運ぶという取り組みです。 25日夕方、総理官邸で開かれた物流問題を議論する閣僚会議。岸田総理大臣は、物流インフラの維持に向けて抜本的な対策を打ち出す考えを強調しました。 「今後の人口減少社会を見据えると、物流機能維持には既存の物流インフラを活用しつつ、物流の常識を根本から革新していく取り組みが不可欠」(岸田総理) 岸田総理は物流問題の解決のため、2030年代半ばまでに「自動物流道路」の構築に取り組む考えを明らかにしました。高速道路などの「空きスペース」を物流に利用するという構想です。 高速道路に空きスペースはあるのでしょうか? 「東京外かく環状道路の大泉ジャンクションでは、高速道路の真ん中に白い壁で覆われたエリアがあります」(長部稀キャスター) 中央分離帯に続いている白い壁。この白い壁の部分が高速道路の空きスペースだといいます。 「先ほどの白い壁の終着点には、大量の土砂が運ばれています」(長部キャスター) 白い壁の中にはベルトコンベヤーがあります。トンネル工事で発生した土砂を運ぶためで、全長はおよそ6キロメートルにも及びます。終着点である和光北インターチェンジには大量の土砂が積まれていました。ベルトコンベヤーが運搬する土砂は、東京ドームおよそ2個分=240万立方メートル。10トンダンプでおよそ50万台分に上ります。 空きスペースに設置したベルトコンベヤーで運ぶことで、交通渋滞を緩和し人件費も削減できるといいます。
空きスペースを活用することで、自動物流道路の実現を目指すとしています。 自動物流道路は、高速道路の中央分離帯や路肩などの空いているスペース、もしくは道路に沿った地下などに物流専用レーンを作ります。そこを自動走行のカートが24時間無人で荷物を運ぶことを想定しています。 「効果の試算は東京から大阪まで仮に自動物流道路がつながった場合、大体1日1.2万~1.7万人ぐらいの労働力に相当するものと考えている」(国土交通省道路局企画専門官の久保尚也さん) 実用化に向け建設中の新東名高速道路、新秦野~新御殿場までの間で2027年度までに社会実験を行う予定です。そして2030年代半ばまでに、大都市近郊の渋滞が多い区間などで実現を目指します。