アフリカ生まれの絵本ってどんな内容? “才能を披露する場がない”イタリアから世界へ発信
日テレNEWS NNN
元アナウンサーで2児の母、現在は『絵本専門士』として全国各地で絵本の読み聞かせなどを行っている私、日本テレビの杉上佐智枝が海外の絵本を取材。イタリア北部のボローニャで、毎年春に開催されている世界最大の児童書専門展『ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア』を訪れました。 【画像】元アナ・杉上佐智枝が“本の街”イタリア・ボローニャを取材
主に児童書向けの販売に関する商談が行われるこのイベント。その一方で、国際的なイラスト賞発表の場でもあります。場内にはイラストレーターを目指す卵たちの工夫を凝らした作品が、連絡先とともに壁一面にずらりと貼られていて、名物のひとつとなっています。 ブックフェアと同時開催のボローニャ国際絵本原画展(Illustrators Exhibition)」では、81の国と地域から3520の応募があり、日本人4人を含む 78人が入選。 若手イラストレーターの登竜門でもあるといいます。
さらに、世界各国のブースも。関係者によると、韓国と中国はここ数年 国を挙げてイラストレーターの育成や絵本産業に力を入れているといい、巨大なブースを構えていました。 他にも、ブラジル、チリ、ギリシャ、ブルガリア、UAE (=アラブ首長国連邦) など、1500以上の出版社が世界約100の国と地域から参加。日本からも講談社やポプラ社など、6つの出版社が出展していました。
■困難な状況にある子どもたちにささげるパブリック・リーディング
今回のブックフェアのメインテーマのひとつが、“人権”。メイン会場では、国連からの働きかけで実現したというパブリック・リーディングが行われました。これは世界30の国と地域から、30人のアーティスト・作家・編集者たちが登壇し、一人ずつそれぞれの母語で人権宣言を読み上げていくイベントです。 ブックフェア主催のエレナ・パゾーリさんは、「国連と協力することは大切なことであると思っていましたので、世界人権宣言のパブリック・リーディングを企画しました。今日、戦争によって困難な状況にある全ての人々、特に子どもたちにささげるものです」と、開催の意図について語りました。 私がこの場に立ち会うと、イヌイットやマオリなどの言語があったり、ウクライナ語での読み上げの3人後にロシア語が読まれたりするなど、紛争関係にある国同士も絵本を通した文化融和で交流し、平和につなげたいという思いが伝わってきました。 日本語で読み上げた板橋区立美術館館長でボローニャ国際絵本原画展の審査員を務めたこともある松岡希代子さんは、「人権宣言のイベントに参加できたのはとても大切なことだったと思います。この見本市自体が巨大な多様性共存の場。それぞれの母語で読む、というのが良かったし、ボローニャだからできたことだと思います」と述べていました。