空のF1 日本初開催のエアレースで優勝を狙う室屋の秘密兵器
最高速度が時速370キロを越えるため、空中のF1レースと呼ばれるレッドブル・エアレースが5月16、17日、千葉の幕張海岸で日本初開催される。それに先立って、日本人パイロットとして唯一シリーズにフル参戦している室屋義秀(42)が23日、福島のスカイパークで、今回のレースに使う新型飛行機「Edge540 V3」を公開した。 レッドブル・エアレースは、各国選りすぐりの14人のトップパイロットが、それぞれ単独でフライト、空気で膨らませた高さ25メートルのパイロン(エアゲート)を低空で規定の動きで通過しながら100分の1秒のタイムを競うレース。飛行コースの全長は約5キロで、「シケイン」という機体を切り返しながらスラロームのようにすり抜ける技術のいるエアゲートも設置されている。 年間8大会が開催され、幕張は2015年シリーズ第2戦。 専用のレーシングマシンは、最大重力10Gがかかり、急上昇急降下が必要とされるためジェット戦闘機なみの性能が求められ、エンジンとプロペラについては、共通のものが使用されるが、その機体及びチューニング(改良)に各チームが叡智を集めてしのぎを削っている。マシンの性能の良し悪しが、タイムアップの大きなポイントで、今回、室屋氏は、最新のニューマシンを導入すると、同時にブラジルの設計デザイナーチームに依頼して、ハイテクを駆使した改良を加えてさらにバージョンアップ。優勝を狙える秘密兵器を完成させた。 「限界まで軽量化しました。かなり絞りこんで空気抵抗も10パーセント減らしました」 全長6.3メートル、全幅7.44メートルしかないコンパクトなレース専用機は、従来の機体に比べ重量で50キロも軽量化に成功。カーボンファイバーの素材を変えて接着剤の量を減らし、塗装をやめて特殊フィルムに変えたが、その塗装部分だけで10キロ軽くなった。またキャノピーと呼ばれるコックピットの風防部分を「(視界が)見えるか見えないかのぎりぎりのところまで」(室屋)低くして、フィレットと呼ばれるその後ろの部分も含めて、空気抵抗を極端に落とすデザインに改良した。 室屋が着用するヘルメットまで薄くしなければ体が収まらないほど。ちなみにニューマシンのお値段は、ベーシックな機体だけで、約5000万円。そこに改良費を加えると1億円近い金額になるという。