暗闇に光を届ける―希少難病の支援団体 検査・診断支援するサイトセミナー開催
・森和彦さん(日本製薬工業協会 専務理事) 世界的には希少難病に対してもたくさんの新薬が生み出されており、日本の製薬企業も熱心に開発に取り組んでいる。一方で、2023年2月に希少難病の患者を対象に困りごとについて調査したところ、情報へのアクセスの難しさや情報が整理されていないことが上位にあがった。これらは医師や製薬企業も同じように感じており、まさに解決策を求めていた。製薬業界としても多くの方にサイトを活用いただけることを願っている。
◇基調講演「難病に関わる社会的課題解決への取り組み」
・佐谷秀行先生(健やか親子支援協会 理事・検索サイト検討委員会 委員長、藤田医科大学がん医療研究センター センター長、慶應義塾大学 名誉教授) 難病患者は、5つの「ない」▽治療法がない▽薬がない▽診断に至らない▽情報がない▽周囲に理解されない――に代表される数多くの困難を抱えている。がんと同様に専門家に巡り合うまで長い時間と多大な労力を要する、いわゆる「難民化」が大きな課題だ。 検索サイトは、難病患者または難病の可能性がある患者を日頃診察しているかかりつけ医に対して「専門医のいる医療機関、専門的な検査を実施している機関」の情報を提供することを目指している。 (「小児希少難病の精査診療機関検索サイト」:https://angelsmile.scuel.me/) サイトの情報は、専門家や学会・研究チームの指導を得て作成し、許可を得て掲載している。指定難病・小児慢性特定疾病に指定されていない疾患の情報も、専門家の判断と検討委員会での協議を経て対象としている。2024年3月には、臨床研究等提出・公開システム(jRCT)をもとに、難病に特化した治験の情報も追加する予定だ(2024年4月現在追加済)。将来的には難病の治療薬に関する相談窓口も設置したい。 5つの「ある」▽治療法がある▽薬がある▽診断に至る▽情報がある▽周囲の理解を得られる――を目指し、私たちのミッションである“患者・家族が希望を持てる社会”を目指していきたい。